研究課題/領域番号 |
22K00753
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山田 一美 関西学院大学, 工学部, 教授 (90435305)
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研究分担者 |
木津 弥佳 (田中) ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (00759037)
田 禾 関西学院大学, 経済学部, 教授 (80440379)
梅田 真理 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (80620434)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 項削除 / L3習得 / L3日本語 / 中国語母語話者 / L2英語 / 空主語 / [+Def]素性 / Full Transfer Potemtial |
研究実績の概要 |
本年度はまず主実験(真偽値判断タスク)の実験アイテムを確定する作業を開始した。研究代表者がイギリスのサウサンプトン大学に留学し、第3言語習得理論のScalpelモデルを提唱されているRoumyana Slabakova教授からアドバイスをいただきつつ、作業をすすめることができた。特にスロッピー読みの解釈を検証するための実験アイテムを改良することができ、実験アイテムが完成した。加えて、主語における[+Def]素性の有無を確認する文法性判断テストを作成し、さらに、実験結果の信頼性を高めるため、スクリーニングテストとして、実験文の解釈に必要な長距離束縛の知識を確認するテスト、主実験の会話内容の理解を確認するテストも作成した。その結果、本研究では合計4種類のテストを実施することになった。パイロット実験を経て、まずは中国語を母語(L1)とし、第二言語(L2)が英語の日本語学習者(L3日本語)に実験を実施した。参加者はイギリスの大学の中国人留学生15名である。L3日本語学習者の結果は、L3日本語空目的語と同様に空主語でもスロッピー解釈を80%許容し、[+Def]素性の確認テストでは[-Def]素性の文の許容率と[+Def]素性の文の許容率が同様であった。彼らがL1中国語の空主語をそのままL3日本語に転移しているわけではなく、かつレベル間の相違もないことから、L3習得モデルのFull Transfer Potential (Westergaard, 2021)を支持する結果となった。本結果は2024年5月に中央大学で開催の国際学会L3 Workshopにて、研究代表者による基調講演の中で報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目となる本年度に実験アイテムが確定し、実験結果の信頼性を高めるためのテストも作成できた。さらにイギリスの大学でのL3日本語の調査も問題なく実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
日本でのL3日本語の習得データ(中国語母語話者対象)を収集し、イギリスでのデータとの比較を考えている。また、日本語統制群データ収集の準備を進めている。さらに、L3日本語の実験アイテムの中国語への翻訳を終え、文法性判断テストの項目を調整しつつ、L3中国語の実験アイテム作成を進めている。今後の調査実施に向けて、台湾やスペインの大学の先生方と実験実施の可能性について実験アイテムの内容、実施可能な人数、レベルなどの相談を開始した。
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次年度使用額が生じた理由 |
L3日本語調査の実験アイテム確定の時期が1月であり、日本の大学のスケジュールを鑑みると、日本人統制群データの収集を次年度にした方が調査をスムーズに進められると判断したため。
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