• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

大学生の英語学習を対象とした認知カウンセリングに基づくピア・チュータリング実践

研究課題

研究課題/領域番号 22K00756
研究機関広島経済大学

研究代表者

迫田 奈美子  広島経済大学, 教養教育部, 准教授 (50341178)

研究分担者 松宮 奈賀子  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70342326)
森田 愛子  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20403909)
深谷 達史  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70724227)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードピア・チュータリング / 認知カウンセリング / 学習方略 / 動機づけ / 複線経路等至性モデリング
研究実績の概要

本研究では,リメディアル教育を必要とする学生(チューティ)と学習を支援する学生チューターの双方の英語学習の実態を明らかにし,ピア・チュータリングプログラムの効果を評価することを目的とした。この実践では,認知心理学の理論に基づく学習相談である認知カウンセリングを参考にして,ピア・チュータリングプログラムを展開した。初年度(R4)には,12人の学生チューターが年間215件,二年目(R5)には13人の学生チューターが年間322件の学習相談に応じ,利用件数は年々増加している。研究の進行状況は,以下の通りである。
1.アンケート調査: 学生チューターとチューティの両方を対象にしたアンケート調査を通じて,英語学習に関する自己効力感,学習意欲,学習方略などを明らかにした。このアンケート調査は,ピア・チュータリング実施後の変化を分析するために,次年度も継続する予定である。
2.半構造化インタビュー: 2年以上の活動経験のある学生チューター9人を対象にした半構造化インタビューを3回行い,学生チューターの英語学習意欲と学習方略の変容を検討した。
3.仮想認知カウンセリング: 学生チューターに仮想問題を提示し,チューティのつまずき診断や支援の方法を説明させ,チューティへの寄り添い方を観察した。
4.TOEIC試験の実施: 学生チューターにTOEIC試験を受験させ,英語力を客観的に測定した。TOEIC受験は年2回実施され,経年比較のデータを蓄積している。
これらの手法を使用して,ピア・チュータリングプログラムの効果を評価し,大学生の英語学習に関する認知カウンセリングの知見を提供することを目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度(R4)には,ピア・チュータリングの実践サイクル「準備→活動→振り返り」を開発した。二年目(R5)は,その効果検証のためのアンケート調査,半構造化インタビュー,仮想認知カウンセリングの実施が計画通り進行した。学生チューターの英語学習意欲と英語学習方略の変容について,複線経路等至性モデリングという質的研究方法を用いて分析した結果を国際学会で発表したが,成果となる論文投稿がまだできていないため,「やや遅れている」という評価が妥当であると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は,本プログラムの実践サイクルである「準備→活動→振り返り」を継続する。このサイクルを通じて,チューティのつまずき解消のための効果的な指導方法を蓄積するとともに,学生チューターの学び合いを促す研修の継続により,チューター同士が知識や経験を共有し,より効果的な支援を提供できるようプログラムの質を向上させる。次年度は16人の学生チューターが活動予定であり,年間300件の相談が見込まれるため,計画通り実践を推進できると考えている。その一方で,チューティによる突然のキャンセルや,学期末の予約殺到という新たな問題も発生している。そこで,チューティの学習成果の向上を図るために,原則5回の学習相談をするという登録制を導入することにした。登録期限を設けることにより,学習相談の適切な計画と管理が可能になり,学習の質の向上が期待される。最終年度である三年目(R6)は,これまでに得られたデータと合わせて,学生チューターとチューティの英語学習の変容を明らかにし,本プログラムの効果検証をする。これにより,プログラムの成果や課題を客観的に把握し,将来の改善策について提案する。

次年度使用額が生じた理由

1月に開催された国際学会での発表内容を2023年度内に論文化できなかったため,英文校正の費用が発生せず,次年度使用額が発生した。
次年度は,海外ジャーナルに論文投稿する。また,国内学会(JACET)にて研究成果を発表する計画があり,旅費を計上している。その他の経費として,引き続き,学生チューター対象の英語力測定のためのTOEIC受験料が発生する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] English Traning Needs of Japanese University Students Participating in the Hiroshima-Hawaii Cultural Project: A Task-Based Needs Analysis2024

    • 著者名/発表者名
      Namiko Sakoda
    • 雑誌名

      JACET 62nd International Convention Selected Papers

      巻: 10 ページ: 133-151

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 英単語学習における動機づけの向上と学習方略使用の促進を目指した介入研究 : 小学6年生に対する学習講座の実践から2023

    • 著者名/発表者名
      成瀬 陽奈子、深谷 達史
    • 雑誌名

      学校教育実践学研究

      巻: 29 ページ: 75~81

    • DOI

      10.15027/53827

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Transformation of Japanese Student Tutors’ English Learning Motivation and Strategies Through Cognitive Counseling-Based Peer Tutoring Program2024

    • 著者名/発表者名
      Namiko Sakoda, Nagako Matsumiya
    • 学会等名
      The 9th IAFOR International Conference on Education in Hawaii (IICE2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] Relationship Between the Stumbling in Learning English by Japanese Learners and Their Difficulties in L12023

    • 著者名/発表者名
      Nagako Matsumiya, Norimune Kawai, Akira Nakayama, Kayoko Murakami, Midori Otani
    • 学会等名
      2023 ASHA Convention
    • 国際学会
  • [学会発表] 英語学習におけるつまずきの実態調査 大学生に対するレトロスペクティブスタディ2023

    • 著者名/発表者名
      松宮奈賀子・川合紀宗・中山晃・村上加代子・大谷みどり
    • 学会等名
      JES近畿・京都大会
  • [学会発表] 認知カウンセリングの経験が授業のみとりに及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      深谷達史・児玉佳一
    • 学会等名
      日本教育工学会2023年秋季全国大会 ポスター発表

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi