研究課題/領域番号 |
22K00772
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
國分 有穂 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (90645938)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 基本動詞 / 定型表現 / 多義語 / プロトタイプ / 認知言語学 / アニメーション動画 / 英語教員養成 / 小学校英語教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本人英語学習者にとって習得困難な項目とされる基本動詞とその定型表現習得に着目し、日本人英語学習者が陥る単語暗記モデルを一新する、意味ネットワーク化を用いた新たな語彙学習モデルを提案・構築することを目的とする。学習者が基本動詞とその定型表現のイメージ・スキーマやプロトタイプを視覚認識できるようにすることにより、その単語の意味理解や意味の長期的な記憶、及びその再生を促す、アニメーション動画や映画を活用した語彙学習教材の開発を行い、その教育的効果を検証する。初年次である2022年度の研究実績は、次の通りである。(1) 実践授業の準備:コーパスより高頻度動詞として抽出された上位20語より基本動詞を1つ選定し、その項構造を分析しリストを作成した。それを基にパイロット版の動画を制作した。(2) 予備調査の分析:前年に大学生を対象に予備調査として実施した小学校~高校までの語彙学習方略・指導法に関する質問紙調査の質的・量的分析を行った。この結果を実践授業で使用する意味ネットワークや動画 (上述(1))の教材作成に生かしている。(3)学会発表:本研究の基礎研究のため実施した小学校現職教員対象の意識調査の結果に関して、第22回小学校英語教育学会(2022年7月)にて発表した。(4) 教科書出版:共著での小学校英語教育指導に関する教科書の出版に携わり、語彙学習や語彙指導についての理論と小学校での指導実践例を複数紹介する章を担当した。 なお、本年度12月2日より、研究代表者が産前産後の休暇、および育児休業を取得していたことに伴い、当該研究を中断している(研究中断期間:2022年12月2日~2024年1月10日予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗状況は、やや遅れている。その理由は、次の通りである。(1)上述の通り、研究代表者の産前産後休暇に伴う研究中断期間のため、当初研究計画にて予定をしていた実践授業を実施することができず、実証研究からのデータ収集が困難となった。また今後の研究計画も綿密に見直す必要が生じた。(2) 研究代表者が英語教育や言語学関連の学会に積極的に参加し、本研究課題と直接的・間接的に関連のある研究に触れ、最新の理論や実践の研究動向を得るべく努力をした。しかしながら、その知見を自身の研究課題に発展的に生かすことができず、既存の仮説にとどまっている。 以上の理由により、当初の予定について多少の変更をしながら研究計画を可能な限り進めたものの、本研究は「やや遅れている」と判断している。次年度は、本年度積み残した課題を遂行し、当初の研究計画通りに研究課題に取り組めるよう努力する所存である。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、本年度12月2日より、研究代表者の産前産後の休暇および育児休業の取得のため本研究を中断しており、2023年度以降の適切な時期に研究を再開する予定である。研究再開後、(1) 包括的な文献研究や英語母語話者コーパス及び英語学習者コーパスにおける基本動詞の用例等を調査し比較・検討し言語分析を行う。(2) 基本動詞を選定・抽出し、適切な場面を設定の上、アニメーション動画や意味ネットワークを制作する。(3) 学習者の基本動詞や定型表現の使用実態を検証するため、語彙知識の深さや単語の使用を測定できる新たな受容・発表語彙知識テストを作成する。(4) 当該理論研究を丁寧に行った上で、実証研究を試みる。具体的には、小学校教員養成課程の授業の中で実施し、開発した教材の教育的効果を検証する。 なお、上記の本研究に関して産前産後休暇及び育児休業に伴う補助事業期間延長申請を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として予定していた研究関連図書費については、初年度の研究段階では所属校の研究費等で全て賄うことができたため、科研費を使用する必要がなかった。加えて、研究中断のため、実証研究を見送る必要があり、それに伴う人件費・謝金・消耗費などは支出の必要がなかった。そのため次年度使用額が発生した。 次年度以降の使用計画については、産前産後の休暇及び育児休業の取得のための研究中断に関して、2023年度以降に研究を再開する予定である。研究再開後、次年度は設備備品の購入が必要なため、図書費は所属校の研究費等だけでは賄えなくなることが予想される。また、実証研究の実施及び動画等の教材制作のため、人件費・謝金・消耗費等の諸費用が生ずる予定である。
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