最終年度は、コーパスを再設計し直し、中間言語に与える影響を考慮してタスクのデザインを改良した。タスクタイプはナレーション型タスクと論述型タスクの2種類にし、タスクタイプ毎に英作文と発話タスクを用意し、高専1年生、4年生、専攻科生2年生を対象に英作文と発話を同一被験者から収集した。さらに最終年度では、集めたデータの中から、ナレーション型タスクにおける書く場合と話す場合の使用文法項目の違いに関する調査を高専1年生と専攻科生2年生を対象に行った。調査の中で、産出モードの影響を受けていると思われる文法項目が観察され、特に受動態は習熟度に関わらず英作文で使用傾向が高まることが分かった。関係代名詞whoの場合は、専攻科生2年と比較すると高専1年生ではほとんど使用がみられず、産出モードの影響というよりは習熟度の影響を受けやすい文法項目だと解釈した。 当初は特定の学習者集団に焦点を当てて縦断的にデータ採集を進める予定だったが、現状高専生から採集した横断コーパスが存在しないため、上述した学年からそれぞれデータ採集を実施した。また、同一被験者から異なるテキストタイプの英作文と発話を集めた学習者コーパスは、世界的にも現状ほとんど見当たらないため貴重なデータベースの構築が実現できた。 将来的には、構築したコーパスに関して学会で発表を行い、収集したデータを用いて、産出モード(書く・話す)、タスク・テキストタイプ、習熟度が日本人英語学習者の使用する語彙や文法項目に与える影響をさらに調査していく。
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