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2022 年度 実施状況報告書

歴史的ロタリンギアの堆積構造とオットー朝宮廷の統治実践

研究課題

研究課題/領域番号 22K00839
研究機関東京外国語大学

研究代表者

千葉 敏之  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20345242)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードヨーロッパ史 / ロタリンギア / オットー朝 / 統治実践 / 修道院 / 証書 / リエージュ / ケルン
研究実績の概要

「歴史的ロタリンギア」科研(3カ年)の1年目にあたる2022年度は、「立て直し」以前の時代における〈堆積構造〉の形成についての基礎的分析を行なった。ケルン=リエージュ圏について、7月までに司教座の司教文書・コア修道院の文書群を、トリーア歴史研究叢書(Trierer Historische Forschungen)の諸文献を参考にデータ化し、修道院と在地貴族家門との関係を一つ一つ確定していく作業を行なった。9月には、現地フィールド調査および文献・資料の収集を行なった。事前に行なった証書資料・研究文献の分析から得られた情報とその地理的分布をもとに、ロタリンギア圏の最初期の拠点修道院であるリュクスイユ修道院を訪問し、その地形的特徴を踏査するとともに、関連施設での文献収集を行なった。続いて拠点をナンシーに移し、ミューズ川沿いの交易・文化伝播の拠点として機能したヴェルダン司教座と、その近くに所在したモーゼル河畔のトゥール司教座を訪問し、地形調査と文献収集、施設の踏査を行なった。フランクフルトでは、リービッヒ博物館所蔵の象牙板付典礼書をはじめとする、研究計画に関わる展示物を閲覧し、関連する文献を入手した。また、フランクフルト大学図書館において研究文献の収集を行なった。
帰国後は、「立て直し」期以前の司教・在地貴族・修道院間の土地取引、文書のやり取りの解析を進め、地域の人的ネットワークを構造的に析出し、その時系列の変化を明らかにする作業を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「歴史的ロタリンギア」科研(3カ年)の1年目にあたる2022年度は、当初計画していた「立て直し」以前の時代における〈堆積構造〉の形成についての基礎的分析を行ない、ケルン=リエージュ圏の司教文書・コア修道院の文書群のデータ化を進めた。その際、トリーア歴史研究叢書の諸文献をもとにデータ化を進め、オットー朝に関して、約半数のデータの整理を終えることができた。修道院と在地貴族家門との関係についても、証書をもとにした解析を進めたが、こちらは相当に時間を要したため、次年度以降継続していく必要がある。9月には、現地フィールド調査および文献・資料の収集を行なった。事前の証書資料・研究文献の分析から得られた地理的分布を、まずはロタリンギア圏の最初期の拠点修道院であるリュクスイユ修道院を訪問して確認した。続いて、ミューズ川沿いの交易・文化伝播の拠点であったヴェルダン司教座とモーゼル河畔のトゥール司教座を訪問し、地形調査と文献収集、施設の踏査を行なうことができた。夏期出張の期間が短かったこともあり、現地調査の成果は限られたものであったが、初年度としては十分な成果を得られたと考えている。

今後の研究の推進方策

2022年度に行なった「立て直し」以前の時代の堆積構造の分析を踏まえ、2023年度は「立て直し」時代の堆積構造についてその継承と変容を明らかにする研究に進む。事前の基礎的分析の手法は昨年度と同様で、トリーア歴史叢書に基づき、司教文書・コア文書の分類を行なう。そのうえで、夏期に海外調査を行なう。今年度は、北ドイツ圏での史資料収集を行なう。具体的には、リエージュとトリーアを結ぶプリュム修道院(プリュムのレギノの記述や所領明細帳)及びスタヴロ=マルメディ修道院を訪問し、現地調査と関連資料の収集、とくに知の拠点から拠点への接続経路の割り出しを進める。帰国後は、ロタリンギアの「立て直し」期の分析をさらに進め、2022年度に分類・解析したデータと収集した史料群(司教文書・修道院文書・裁判史料)と比較しつつ、その変容の具体相を明らかにしていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 歴史の転換期5 1348年 気候不順と生存危機2023

    • 著者名/発表者名
      千葉敏之、長谷部史彦、井上周平、四日市康博、井黒忍、松浦史明
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      山川出版社
    • ISBN
      978-4634445055

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公開日: 2023-12-25  

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