研究課題/領域番号 |
22K00854
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊東 久智 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 助教 (90434373)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 日本近代史 / 男性史 / 青年 / 政治運動 / 社会運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、運動史研究とジェンダー史研究を各々実証的に進展させつつ、かつ双方を架橋するための方途を探ることを目的として、(1)戦間期の地域(農村)/中央(都市)における「青年」を担い手とした政治・社会運動の事例的実態の比較対照と、(2)「青年」を含む当該期の男性を顧客とした大衆娯楽に対するジェンダー史(男性史)的アプローチの実践を試みようとするものである。 その上で、上記(1)の課題については、農村の中層以下の「青年」を担い手とした①地域青年党運動と、都市の大学生などを担い手とした②学生社会運動(及びその延長線上にある無産政党組織運動)の総合的把握を図ることを、上記(2)の課題については、大衆娯楽と男性性との密接な関係性に着目しつつ、③主要「講談雑誌」のジェンダー分析を行うことを、それぞれ具体的な作業として設定している。 研究実施期間中の各年度とも、上記①・②・③の各対象について、文献調査と史料調査を組み合わせた研究計画を立案しているが、令和4年度の当初計画は、①=全国立憲青年同志会の機関誌『新使命』の調査(地域青年党運動の全国的動向の把握)、②=建設者同盟機関誌『無産階級』『無産農民』及び関連雑誌の調査(学生社会運動における「青年運動」論の方向性の把握)、③=大衆芸能としての「講談」に関する各種文献のリスト化・確認(次年度以降の史料調査のための前提作業)、というものであった。 次に令和4年度の研究実績の概要であるが、まず②については、令和5~6年度の計画(田所輝明の著作のリスト化・確認/無産政党関連史料の調査/官憲史料の調査)も含め、全て完了した。これは②に関連する論文の執筆準備を前倒しして進めているためである。一方、①については、その分進捗に遅れがみられることに加え、③についても、リスト化(及び入手)についてはほぼ完了しているが、確認作業に遅れがみられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」欄にも記載した通り、本研究の令和4年度の当初計画は、①地域青年党運動については、全国立憲青年同志会機関誌『新使命』の調査、②学生社会運動(無産政党組織運動)については、建設者同盟機関誌『無産階級』『無産農民』及び関連雑誌の調査、③主要「講談雑誌」のジェンダー分析については、(その前提となる)「講談」に関する各種文献のリスト化・確認であったが、②については当初計画以上に進展がみられるものの、①・③についてはやや遅れがみられる。 ただし、①・③の遅れは、②に関連する論文執筆を(発表媒体の刊行時期が決まっているため)優先しているという事情によるもので、令和5~6年度に(②については両年度とも計画を完遂しているため)①・③を優先することで十分調整が可能な範囲にとどまっている。したがって、現在までの進捗状況は、総合的にみれば「おおむね順調に進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究計画は、①地域青年党運動については、『伊予日日新聞』の調査(第19回県議選・第15回総選挙)、②学生社会運動(無産政党組織運動)については、田所輝明の著作(単行本・雑誌論説等)のリスト化・確認、③主要「講談雑誌」のジェンダー分析については、『講談倶楽部』(講談社)の調査(1911年~、令和6年度も継続)というものである。繰り返しになるが、②についてはすでに完了しているため、①及び③を、令和4年度の遅れ分(①『新使命』の調査継続、③「講談」に関する各種文献の確認)とともに進めていくことが課題となる。 なお、①=『伊予日日新聞』の調査については、3月に愛媛県での出張調査(2~3泊)を予定している。
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備考 |
分担執筆(コラム):伊東久智「思想史のなかの「院外青年」」、山口輝臣・福家崇洋編『思想史講義【大正篇】』(ちくま新書、2022年8月)、pp.156-159.
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