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2022 年度 実施状況報告書

除目からみた古代・中世の朝廷における政務と政治構造の解明―三条西家の除目書から―

研究課題

研究課題/領域番号 22K00856
研究機関信州大学

研究代表者

志村 佳名子  信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (00759665)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード除目 / 三条西家 / 儀式書 / 故実 / 宮廷儀礼
研究実績の概要

2022年度は、三条西家の除目関連史料の整理・分析を進めた。具体的には、国文学研究資料館所蔵『除目抄 下』の原本調査と写真撮影を行い、その翻刻と書誌的考察を進めた。当該史料は、三条西家において書写された九条家流の除目書である『無外題春除目』や、三条西実隆が編述した『除目次第私抄』などと密接に関連することが推定されるが、これまで書誌自体の分析が行われていなかった。そこで、全文の翻刻と書誌の解明を進めているが、上巻が逸失し、他に手がかりとなる情報が少ないことから、全容の解明には相応の時間を要すると見込まれる。
また、三条西家旧蔵の新出除目書である『無外題春除目』と内容的に密接な関連を有する九条家本『春除目抄』の本文をもとに、除目儀の次第を整理するのに至便なテキストデータを作成し、除目次第や除目作法の分析の土台を整備した。
加えて、除目作法と除目故実に関しての考察を行った。摂関期から院政期頃の貴族社会の言説や談話を収録した西尾市岩瀬文庫所蔵『言談抄』には、除目の竟日(最終日)に除目の責任者である執筆が、給中の内記所に「魚類」を給うという故実が描かれており、これは実際に十~十一世紀の除目で行われていた次第であったことを確認した。この「魚」にまつわる次第と、中世の除目書に「魚」を冠するものが多くみられることには何らかの関連性があると考え、考察を進めたところ、官人の身分証としての魚袋の佩用が官職(除目)と魚とを結び付ける根拠になったと考えられ、これについて論文をまとめた(査読中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

三条西家の除目書については国文学研究資料館所蔵『除目抄 下』の分析がやや難航しているが、除目故実に関する考察を推進することができたため、上記のように判断した。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルス感染症による影響が減少することが予想されるため、これまで制限のあった史料の原本の閲覧・調査を積極的に進め、未解明の史料の分析を進めるとともに、古代から中世にかけての除目儀の変遷を跡付ける作業を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症の影響による史料所属機関の利用制限等が長引き、調査の計画に変更が生じたことによる。次年度使用額については、物品費・旅費等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 再現イラストでよみがえる日本史の現場2022

    • 著者名/発表者名
      朝日新聞出版編(監修・執筆者:児玉大成,宮地聡一郎,北条芳隆,高橋克壽,箱崎和久,森公章,杉本一樹,山本崇,赤司善彦,斎木涼子,志村佳名子,百瀬明穂,梶川敏夫,山田邦和,川合康,高橋慎一朗,堀本一繁,永村眞,市沢哲,橋本雄ほか)
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      朝日新聞出版
    • ISBN
      978-4-02-334072-5

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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