研究課題/領域番号 |
22K00866
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研究機関 | 宮崎学園短期大学 |
研究代表者 |
黒野 伸子 宮崎学園短期大学, その他部局等, 教授 (70515957)
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研究分担者 |
石川 寛 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (30612527)
大友 達也 就実短期大学, 生活実践科学科, 教授 (90369497)
黒木 由美 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 准教授 (40737392)
河合 晋 岐阜協立大学, 経営学部, 教授 (20560725)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 近代地域医療 / 西洋医学の受容 / 小寺家文書 / 信玄病院資料 / 患者教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域医療の形成過程を「患者」「医療提供者」双方の視点から明らかにし、現代における地域医療の在り方を提言することを目的としている。申請者らは2019年8月に岐阜県大垣市に伝来する小寺家文書より日本最古の入院診療明細書を発見し、同年12月には愛知県新城市の旧信玄病院が発行したレセプト原簿、会計原簿等を確認した。本年度は以下の内容で研究を進めた。 ①先行研究整理:近代医療関連の書籍、文献、画像の収集及び整理を行った。整理は「医療提供者側」「患者側」いずれの視点で論じているかによって分類した。 ②小寺家文書の再精査:小寺家文書の見直しを行い、『小寺家文書目録』衛生医療に分類されないものの中にも医療関連の資料がないかどうかの確認を行った。旧所有者小寺登氏の協力の元、検討を加えるに足る資料を得ることができた。書状(書付、領収証)などに医療関連の記述が残されているケースがみられるため、次年度も引き続き継続する予定である。新たな資料の解読は次年度に行うこととした。 ③資料の画像化及び内容の確認:画像化の進んでいない「小寺家日誌」についてスキャンを進めた。家族の受療行動、医療に対する考えなど、多くの示唆を与える重要な内容を確認することができた。信玄病院資料については、目録に沿って資料の確認を行い、画像化の準備を進め、次年度に画像化を進めることとした。 ④現地調査:資料収集地域に赴き、地域の方々にヒヤリングを実施した(一部遠隔会議システムを使用)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は先行研究の収集・分類等が完了し、研究の方向性を決めることができた。併せて次年度に予定している資料の精査を行うための準備を進めた。しかしながら画像化等データ化の作業が遅れており次年度に一部持ち越しとなり、翻刻・解読などの作業が遅れる可能性も出ている。データ化の完了している資料から解読を進めていくことで、遅れを取り戻すことは可能であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定は以下の通りである。 ①地域医療に関する因子分析:ICF(国際生活機能分類)による「生活機能モデル」を用いた先行研究の分析を実施する。近代地域医療形成過程において重要とされてきた因子を抽出し、検討する。これにより、西洋医学受容過程を「医療提供者側」と「患者側」との関わりから再検討することが可能であると期待する。 ②抽出した医療関連資料の翻刻、解題、解読:「小寺家文書」については、医療費計算、明細書等の記録物と小寺家日誌の照合を行い、「信玄病院資料」については、患者分布図の作成、レセプト原簿、会計原簿の解読を行う。 ③治療への期待度、金銭負担の影響度、地域への啓発度の数値化:「治療への期待度」は、Lisserの尺度を参考に、明治期の医療行為、看護行為を考慮に入れた尺度表を作成し、日誌記述の概念抽出(M-GTAによる)と併せて検証する。「金銭負担の影響度」は、マーケティング4C分析(価値、負担、利便性、コミュニケーション)をフレームとして検証する。「地域への啓発度」は、啓発活動における効果測定の手法を参考に検証する。 ④信玄病院の復元:病院平面図よりCGモデルを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、当該年度で実施できなかった画像化の費用として使用する。
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