研究課題/領域番号 |
22K00876
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木土 博成 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10737456)
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研究分担者 |
越坂 裕太 学習院大学, 付置研究所, 助教 (40982913)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 伊勢貞昌 / 有職故実 / 薩摩藩 / 御成 |
研究実績の概要 |
本年度は伊勢貞昌に関する史料をひきつづき収集した。『旧記雑録』所収分については、おおむね収集し終えたので、機関所蔵の原文書の調査に注力した。宮崎県総合博物館では「伊勢文書」の原本を閲覧、調査し、『宮崎県史』所収の翻刻を、いくつかの重要な点で更新することができた。また、東京大学史料編纂所では、写本類から伊勢貞昌の発給文書を複数点見出し、翻刻した。こうした成果の一部は、木土博成『近世日琉関係の形成ー附庸と異国のはざまでー』(名古屋大学出版会、2023年)所収の「第九章 伊勢貞昌の政治と学問」にて成稿した。本論文は、薩南学派に連なる伊勢貞昌が天道思想を信奉していたことなどを指摘したもので、これにより、貞昌の思想的基盤が明らかになりつつある。さらに、貞昌が相伝を受けた武家故実書の精読を開始している。こうした故実書の書写関係を一定程度、詳らかにするとともに、貞昌の故実理解が中世の本来のものから、若干の逸脱をみせていることを把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料所蔵機関のご協力が得られ、順調に原本調査ができている。また、東京大学史料編纂所にある写真帳、写本類などを閲覧することで、効率的に史料が収集できている。
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今後の研究の推進方策 |
伊勢貞昌が寛永7年(1630年)に、将軍家の島津邸御成の準備を取り仕切ったことに注目し、中世から近世へと移行するなかで、御成に対する価値観がどのように変化したかを論じ、論文化して投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入する予定であった史料集がデジタル化され、インターネット上で確認可能になったので、出費が減った。次年度以降、東京での調査旅費に充当したい。
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