研究課題/領域番号 |
22K00882
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
笹部 剛史 (若月剛史) 関西大学, 法学部, 准教授 (30625744)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 技術官僚 / 砂防 / 日本政治史 / 砂防協会 |
研究実績の概要 |
本年度は、昭和戦時期から戦後期にかけて土木系技術官僚がどのように地域社会を組織化していったのかという点を明らかにするために必要な史資料の収集・分析を行った。特に、赤木正雄などの砂防系の技術官僚や彼らが結成した団体(砂防協会など)に関する史資料について重点的に収集・分析を進めた。その結果として、彼らが1930年代に貴衆両院の議員や地域社会を組織化していく過程を解明することができた。 その成果の一環として、関西大学経済・政治研究所の第253回セミナー(2022年9月7日)で「砂防事業をめぐる「公助」と「共助」-近現代日本の場合-」と題する報告を行った。同報告を行うことによって、1930年代に砂防系の技術官僚がなぜ、そして、どのように地域社会を組織化したのか、政治史的に明らかにする見通しを得ることができた。 他に、本研究で得られた知見に基づいて、松沢裕作・高嶋修一編『日本近・現代史研究入門』(岩波書店、2022年)に、1980年代後半以降の日本政治史研究の動向を概観する論考を寄せた。 また、栃木県を事例として、ある府県に生まれた者が、政治家や官僚、軍人などになるにあたって、どのような制約を受けるのか、その結果として、どのような言説が生み出されるに至ったのか、試論的に論じたエッセーを公表することができた(「栃木県人であること-××県人であることの政治的意味-」『日本歴史』898号、2023年)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に必要な史資料の収集を進めることができ、その成果として報告を行うことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、本年度において十分に検討を加えることができなかった、治水系の技術官僚や逓信省が地域社会をどのように組織化しようとしたのか明らかにするために、史資料の収集・分析を行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、当初予定していた東京方面での史資料の収集を取り止めたため次年度使用額が生じることになった。これは、次年度、東京方面に出張することで使用したいと考えている。
|