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2023 年度 実施状況報告書

江戸近郊多摩川下流域左岸の地帯構造と都市性

研究課題

研究課題/領域番号 22K00892
研究機関東京大学

研究代表者

吉田 伸之  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (40092374)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード都市性 / 多摩川河口汽水域 / 江戸近郊 / 地帯構造 / 社会=空間構造 / 家格と由緒 / 現状記録調査
研究実績の概要

本研究は、2019~2021年度基盤研究(C)「江戸南部近郊地帯の分節構造―荏原郡六郷領を事例に」(以下「前研究課題」)での成果を継承し、日本近世巨大都市江戸の南部近郊における地帯構造の全体史把握をめざす試みである。具体的な対象として、旧荏原郡域(現、東京都大田区南半部)、中でも多摩川下流域左岸沿いの村々を取り上げている。ここは、荏原郡内南部を構成する六郷領に相当し、主要な水路でもある多摩川をはじめ、領内臨海部を南北に縦断する東海道、また領域東端沿いに広がる江戸内湾など、その存立環境の面で、単に巨大都市近郊に留まらない、特異な条件をいくつも抱える地帯である点に特徴がある。本研究計画の第二年度にあたる2023年度は、主に、①旧鵜ノ木村の村役人文書である天明家文書の現状記録調査と史料群の性格をめぐる基礎研究、②下沼部村北川家文書の再調査の継続と史料のデジタル撮影の継続、及び論点把握、③多摩川河口汽水域から大森海岸にいたる海水面を基盤とする海苔生産と、江戸との関係で形成される流通構造の研究、などに取り組んだ。その中で③をめぐる研究成果については、大田区立郷土博物館における特別展での講座で市民向講演で公表した。また、これらとは別個に、④当該地帯の近世における文化基層に深く関わる、新田神社をめぐる由緒と言説の問題にも新たに注目した。これについては、武蔵国榛沢郡岡村田島家に伝来した「新田脉岩松分脈田嶋氏系図」などの関連史料の基礎研究に取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の基礎的な作業課題は、大田区立郷土博物館所蔵・寄託文書の現状記録調査にあるが、その調査の進展状況が当初計画よりやや遅れ気味であり、またこれに伴い、個別研究課題への取り組みも渋滞している。これらは、①調査先である大田区立郷土博物館との日程調整上の困難、②調査協力者の予定との擦り合わせ上の問題、③史料の写真撮影を依頼している業者の作業予定との調整、などによるものである。

今後の研究の推進方策

当初研究目的で述べたように、本研究は、多摩川下流域左岸の地帯構造分析を、六郷領の八幡塚村・下沼部村、および鵜ノ木村を素材とし、「前研究課題」において新たに見出した未整理文書である旧名主天明家文書の現状記録調査を、2024年度中に完了させ、その保存・活用に途を開くことをめざす。また、研究実績の概要で記した、新田神社の由緒に関わる基礎史料「新田脉岩松分脈田嶋氏系図」と関連する史料の翻刻、及びその基礎研究にも併せて取り組む。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 「新田脉田嶋氏系図」を読む2023

    • 著者名/発表者名
      吉田伸之
    • 雑誌名

      ALC REPORT

      巻: 4 ページ: 61-90

  • [図書] 「身分」を交差させるー日本とフランスの近世2023

    • 著者名/発表者名
      吉田伸之ほか
    • 総ページ数
      382
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      978-4-13-020313-5
  • [図書] 海苔商たちの底力2023

    • 著者名/発表者名
      吉田伸之ほか
    • 総ページ数
      97
    • 出版者
      大田区立郷土博物館
  • [図書] 濵水城市空間形態与歴史文化演選 国際学術研討会論集2023

    • 著者名/発表者名
      吉田伸之ほか
    • 総ページ数
      492
    • 出版者
      商務印書館出版
  • [図書] 近世巨大都市・三都の複合構造とその世界史的位置2023

    • 著者名/発表者名
      吉田伸之ほか
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      大坂公立大学大学院文学研究科 都市文化研究センター

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公開日: 2024-12-25  

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