研究課題/領域番号 |
22K00893
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
長村 祥知 富山大学, 学術研究部人文科学系, 講師 (90785429)
|
研究分担者 |
末兼 俊彦 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部工芸室, 主任研究員 (20594047)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 承久の乱 / 『承久記』 / 『承久記絵巻』 / 後鳥羽院 / 公武関係 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の12~13世紀、平安時代後期~鎌倉時代における公武関係論の基盤構築を目指すものである。特に重要な画期である承久の乱(1221年)に関して、「史料が僅少」という根本的課題の克服を目的として、『承久記絵巻』をはじめとする史料原本の基礎研究を行う。さらに、承久の乱に関わった武士や貴族・僧の特質を12~13世紀の官司や一族の動向と合わせて総合的に解明する、という目的・計画をたてている。 本年度は、この計画のうち、長村祥知編著『龍光院本 承久記絵巻』(思文閣出版、2023年3月)を公刊した。書名となっている史料は申請者が約80年ぶりに再発見したものであり、この絵巻に鎌倉幕府二代執権 北条義時の肖像が含まれることで、すでに一般社会においても再発見の報道に大きな反響があった。 本書は、従来明らかではなかった絵巻全六巻の表具・本紙の全てと附属品のカラー影印、そして詞書の全文翻刻を公刊した最初の書籍である。同書の目次は次の通り。 ○序 文 ○第一部 影印:「龍光院本 承久記絵巻(巻第一~巻第六、附属品等)」 ○第二部 翻刻と解題:「龍光院本『承久記絵巻』巻第一~巻第六 詞書」/「解題 『承久記絵巻』の基礎的研究」/「附表 A 龍光院本『承久記絵巻』各巻の詳細寸法」、「附表 B 慶長古活字本『承久記』・龍光院本『承久記絵巻』対照表」 ○第三部 関連論考:「第一章 研究展望『承久記』―二〇一〇年九月以前―」/「第二章 承久の乱と歴史叙述」/「第三章 『平安通志』と『承久軍物語』」 ○附 『承久記』文献一覧 この書籍は、承久の乱や『承久記』、さらには軍記物語や絵巻に広く関わる研究基盤となるものと予想される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長村祥知編著『龍光院本 承久記絵巻』(思文閣出版、2023年3月)を公刊した。これは本研究課題の柱となる目的の一つであった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、12~13世紀、平安時代後期~鎌倉時代における公武関係論の基盤構築を目指して、承久の乱に関わる史料・美術工芸品の原本・実物に即した研究や、承久の乱に関わった武士・貴族・僧の特質の解明を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における調査活動の減退で予定していた調査旅費として使用できなかったため。2023年度については鎌倉時代の金属工芸作品を中心に関連する文化財の調査を進める予定である
|