| 研究課題/領域番号 |
22K00910
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| 研究機関 | 金沢大学 |
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研究代表者 |
安部 聡一郎 金沢大学, 人文学系, 教授 (10345647)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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| キーワード | 簡牘 / 三国時代 / 出土資料 / 走馬楼呉簡 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、中国・三国時代(3世紀)の出土文字史料である走馬楼呉簡について、形態観察に基づく整理と、歴史的・地理的環境との考量によってこれを分析することで、後漢末・三国期の臨湘県地域の状況、それと臨湘県外との繋がり、さらにその背景となる前漢から南北朝時代(前3世紀～6世紀)湖南・湖北地域の状況を把握し、文献に基づく従来の歴史理解、さらに東アジア書記文化に対する理解の深化に資することにある。
以上の観点から、所定の計画に基づき、第2年度の本年は、第1年度に引き続き、走馬楼呉簡中の戸籍・賦税納入関係簡に示される郷―丘統属関係および同呉簡中に出現する臨湘県内の地名の整理を踏まえ、臨湘県地域が湖南・湖北地域、さらにその外側に接続する嶺南・中原地域との関係でどのような位置を占めているかを追究した。本年度は特に、第1年度より新たに参加した長沙五一広場東漢簡牘の講読会での活動を通し、同簡牘および関連する湖南・嶺南地域出土の漢三国期出土考古資料を材料とし、これと第1年度以来の地方志等の歴史地理資料に関する整理・分析とを併せることで、臨湘および湖南地区での物資・人員の移動と嶺南からの影響に関する検討をおこなった。これらの成果の一端は、ソウル大学校人文大学東洋史学科での講演「漢晉時期臨湘縣與湖南地區的探索：從長沙出土東漢三國簡牘的視角出發」にて示したほか、五一広場東漢簡牘研究会編「長沙五一廣場東漢簡牘譯注稿（一一）（『壹』二九七～三〇九）暫定版」の一部としてweb公開された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
走馬楼呉簡最終巻（第十巻、竹木牘巻）の刊行はそれが近いことを予期させる動きはあったものの第2年度内も結局行われず、また現地博物館での調査も新型コロナ流行に伴う海外渡航制限は解除されたものの、査証に関する制限が解除されておらず、実施できなかった。そのため所期の計画の一部が実施できておらず、やや遅れが生じている。
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| 今後の研究の推進方策 |
第3年度も、所定の計画および第2年度までの成果に基づき、引き続き走馬楼呉簡および五一広場東漢簡牘を主な材料として、これに出現する臨湘県内外の地名および人員・物資の移動を手掛かりとして、歴史地理資料・出土考古資料を踏まえて三国期湖南地域の社会的・経済的・軍事的構造に関する検討を進めていく。先述の走馬楼呉簡報告書最終巻は、行政文書を中心とすることが既に報じられており、その内容から見て、臨湘県内だけでなく、湖北・湖南地域の各郡県との関係について新たな知見が得られることが期待される。このような呉簡から得られる三国期の知見は、五一広場東漢簡牘から得られる後漢代の状況との比較対照を通して検討を深められる見込みがあり、上述の本年度の検討ではその一端を示した。第1年度・第2年度に広げた研究のネットワークを活かし、引き続き長沙呉簡研究会および五一広場東漢簡牘研究会に参与し、この方面について研究を進めていく。また、現地博物館での調査も実施にむけて引き続き時期を検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り、購入予定の走馬楼呉簡報告書最終巻の刊行が第2年度内も行われず、また中国へ渡航しての現地調査が査証政策の影響で第2年度中も実施できなかったため。第3年度中の購入・実施を予定するが、状況によっては計画の延長も検討する。
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| 備考 |
3:137/三〇一簡および3:138/三〇二簡（7～12頁）を担当。22頁末尾に参加者として記名あり。
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