研究課題/領域番号 |
22K00936
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
宮崎 聖明 別府大学, 文学部, 教授 (80455617)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 胥吏 / 中国近世史 / 明代史 |
研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に続いて中国明代における吏員人事制度に関する史料・先行研究の整理・検討、および省祭官身分の制度的・社会的あり方を示す史料の収集を中心に研究を行った。 明代における「省祭官」を対象とする本研究において、省祭官身分獲得に至る吏員人事制度の詳細およびその運用実態を整理することは必要不可欠な作業である。2023年度は、前年度に行った吏員人事制度に関する史料収集・整理、当該制度の歴史的変遷や運用上の諸問題の解明の成果を、二篇の学会発表という形で公開した。その内容は、2024年度において学術論文として発表することが決定している。 また、引き続き明代の胥吏全般に関する先行研究を収集し、日本のみならず中国・台湾における研究動向の把握を図った。先行研究において欠如していた、経済的活動や社会的地位の検討を通じて胥吏と明代中国社会との関係を問う本研究の独自性をあらためて確認するに至った。 加えて、本研究の中心的課題である省祭官のあり方を明らかにするために、各種史料から省祭官に言及するものを網羅的に収集する作業を進めた。一連の作業を通じて、宗族の成長過程における省祭官身分獲得の重要性を示す一連の史料を見出し、その読解と内容の検討、周辺事情の調査を進めている。これらの作業は、 人事制度の運用実態のみならず、省祭官およびその前段階である吏員を生み出す階層がどのようなものであるか、省祭官身分を獲得した者がその後どのような活動を行っていたか、といった問題を検討するにあたって有効である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況は収束へ向かい、国内における資料調査・学会参加は行うことができたものの、中国の対日本人ビザ免除措置停止の影響などにより国外での資料調査を行うことができなかった。また、このことの影響もあり、研究成果の学術論文への掲載に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、国内外における資料調査、学会参加を積極的に行うとともに、史料のさらなる収集・読解に努め、研究成果の発表を行いたい。 前年度までの成果を学術論文として発表することはすでに決定しているが、これに加えて、宗族の成長過程における省祭官身分獲得の重要性を示す一連の史料をもとに、学術論文一篇の発表を目指す。また、当該史料はほとんど未知に属する史料であり、その内容を紹介することそのものに研究上の意義があるので、当該史料の訳註を作成し、その発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、国外における資料調査・学会参加などを行うことができなかった。そのため、既に入手している資料を用いて研究を進めたため、図書購入など「物品費」の支出が少額であった。資料調査の成果を整理するための人件費を中心とする「人件費・謝金」の支出も少額であった。 2024年度は、資料調査・学会参加の回数が増えることが予想されるため、これらに次年度使用額を充当する予定である。
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