研究課題/領域番号 |
22K00960
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
原田 昌博 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60320032)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ワイマル共和国 / 右翼労働運動 / ナチズム |
研究実績の概要 |
本研究は、ワイマル共和国期のドイツ(1918年~1933年)で右翼・保守的な政党や政治運動が労働組合的組織を設立し、労働者の獲得を目指していた点に着目し、右翼陣営内の労働(組合)運動の実態を分析することを目的とする。 研究に当たっては、右翼側の政治的な立場を類型化し、それぞれの具体的な労働者組織を取り上げて、その組織的特徴や活動実態を文書館に保管されている第一次史料に基づいて実証的に検討した上で、こうした右翼労働者組織に集まった労働者の特徴、さらにそれら諸組織とナチズム運動との接点を可能な限り明らかにしていく。具体的にはナチス経営細胞組織(NSBO)、鉄兜団自助会(Stas)、ドイツ国家労働者同盟(DNAB)、フェルキッシュ闘争労働組合、大ドイツ労働組合などの組織を取り上げる。 本研究は、こうした右翼陣営内で類型化される労働組合的組織を「右翼労働運動」という包括的な概念のもとで捉え、左翼労働運動に対抗した潮流として位置づけるとともに、「ナチズムを支持した労働者」を明らかにする手掛かりにしたいと考えている。 2023年度は8月に渡独し、ベルリンの連邦文書館を中心に本研究の遂行に必要な第一次史料の調査・収集を行った。とりわけ、ドイツ国家国民党(DNVP)の労働者政策に関する史料を調査し、主として同党の労働者組織であるドイツ国家労働者同盟の史料を入手した。 研究成果に関しては、ナチスと大衆(労働者)の関係に言及した共著で小論を発表した。2024年度は史料・研究文献の分析を進め、その成果を適宜発表していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
その他の研究と並行して進めたため、2023年度は史料調査・収集にとどまり、本格的な分析は2024年度に行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も夏季に渡独し、2023年度の調査を継続し、ドイツ連邦文書館やプロイセン枢密文書館を中心に一次史料の調査と収集を行う。同時に、国立図書館での文献調査を実施して、研究課題に関する文献や当時の小冊子の入手も引き続き行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、日本で入手できない文献や刊行が遅れている文献があり、これらを次年度に購入することとした(日本で入手できない文献については渡独の際に購入を試みる)。
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