研究課題/領域番号 |
22K00976
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
城倉 正祥 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90463447)
|
研究分担者 |
谷川 遼 早稲田大学, 會津八一記念博物館, 助手 (10906572)
山藤 正敏 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (20617469)
呉 心怡 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (20933360) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 唐代都城 / 東アジア都城 / 中枢部 / 宮城 / 太極殿 / 含元殿 / 明堂 / 衛星画像 |
研究実績の概要 |
本研究は、衛星画像のGIS分析を武器として、唐代都城中枢部の空間構造と設計原理に関して、東アジアの視点で比較分析することを目的としている。特に、唐・渤海・日本の都城中枢部に注目し、国際比較によって中国都城の発展・展開の歴史性を明らかにするのが最終的な目標である。 以上の目的を踏まえて、衛星画像の分析を進めるとともに、現在までの分析成果を多言語で国際発信する作業を進めてきた。特に、2023年度は、①国内での衛星画像の分析(唐長安城・洛陽城・揚州城)、②中国都城(北京・洛陽・西安)の現地踏査、③過去の発表成果の英文・中文翻訳作業、主に3つの作業を課題として進めた。 ①に関しては、既に購入している唐長安城・洛陽城・楊州城のPleiades衛星画像の解析作業を進めた。特に宮城中枢部の構造について、整理をすることが出来た。なお、本研究の成果の一部は、別に取得している科研(基盤研究C/代表:城倉正祥/『衛星画像のGIS分析による隋唐都城とシルクロード都市遺跡の空間構造の比較考古学的研究』)の成果として刊行した科研報告書(城倉正祥著『太極殿・含元殿・明堂と大極殿』早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所)で発表している。 ②に関しては、日本学術振興会の二国間交流事業(CASSとの共同研究『日中古代都城の調査方法に関する比較考古学的研究』日本側代表者:城倉正祥)の一環として、中国北京・洛陽・西安の都城遺跡を踏査した際に、本研究課題に関する知見も深めることが出来た。 ③過去の発表成果の英文・中文翻訳作業については、研究分担者2名に分担金を渡して進めていただいた。英文に関して順調に進んだが、中文に関しては分担者が職位の任期満了により科研番号がなくなったため、分担をしていただくことが出来なかった。中文翻訳については、2024年度以降に取り組む予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展している。 特に本研究の重要な研究課題である唐・渤海・日本の宮城中枢部の比較に関しては、既に採択されコロナ禍によって延長していた基盤研究C(代表:城倉正祥『衛星画像のGIS分析による隋唐都城とシルクロード都市遺跡の空間構造の比較考古学的研究』)とも関連する部分が多く、衛星画像を用いた空間構造の分析作業が進展した。そのため、本研究課題の成果を含む形で科研報告書(城倉正祥著『太極殿・含元殿・明堂と大極殿』早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所)を発表できた。そのため、国内における分析作業に関しては、当初計画以上に進んでいる状況である。 また、2023年度には中国社会科学院との共同研究(日本学術振興会の二国間交流事業『日中古代都城の調査方法に関する比較考古学的研究』)が採用されたこともあり、中国の都城研究者との共同研究作業が順調に進み、現地踏査も共同研究の中で進めることが出来たため、本研究課題に成果をフィードバックできた。 なお、今までの報告書の英文・中文翻訳作業に関しては、英文担当の研究分担者が既にキルギス共和国アク・ベシム遺跡の報告に関して、英文翻訳を終えており、編集作業に入っている段階である。一方、中文に関しては担当する予定の研究分担者が職位の任期満了のため、科研番号がなくなり、分担をしていただくことが難しくなった。そのため、分担金を返金いただくことになったが、中文翻訳については2023年度に進めることができなかった。2023年度に関しては、この点のみ課題として残っているため、2024年度以降に対応を考える予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は順調に進展しているため、今後も予定通り研究を進める。 今後の計画としては、2024年度に渤海都城の分析、現地踏査を予定しており、2025年にシンポジウム開催、2026年に科研報告書を刊行して研究を総括していく予定である。なお、2024年度の渤海都城の現地踏査に関しては、中国側の共同研究者へ打診したところ、現地国内法などの理由から実際の踏査が難しいという回答を得ている。そのため、2024年度の渤海都城の分析に関しては、国内での衛星画像を用いたGIS分析を中心として作業を進め、同時期の関連する中原都城の現地踏査などを実施して、その成果を還元する予定である。コロナ禍の折には海外渡航が難しかったが、現在では緩和されているため、安全面に配慮しつつ、渡航計画を立てる予定である。 なお、現段階で進展が遅れている作業として、中文翻訳作業が挙げられる。現状では2024年度に翻訳作業に従事できる人材を確保することが難しい状況だが、2025・2026年度の2カ年で、研究費を用いて研究補助を雇用するなどして翻訳作業を進める予定である。 以上、中国での現地踏査、および報告書の中国語翻訳作業などに関しては、若干の課題が出てきているが、これらを2024年度からの3年間で克服しつつ、研究を進める予定である。特に2024年度は、2025年度に予定しているシンポジウムの開催準備も進める必要があるため、発表者の選定や発表内容などを具体化する作業も同時進行で進めていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者1名が、職位の任期満了のため、2023年度8月末をもって科研番号を喪失した。そのため、研究分担金を返還してもらうことになり、未使用金額が生じた。また、中国踏査の渡航費を別資金から支出したため、2023年度の費用が残ることになった。2024年度以降に計画的に消費する予定である。
|