研究課題/領域番号 |
22K00989
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
浜田 竜彦 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20840143)
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研究分担者 |
高田 健一 鳥取大学, 地域学部, 教授 (70403368)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 縄文時代 / 環境変化 / 潟湖 / 資源利用 / 農耕 |
研究実績の概要 |
本研究は、鳥取平野を形成した千代川の西岸に広がる潟湖(湖山池)周辺に分布している遺跡を検討の対象とし、気候が温暖だった縄文時代早・前期から、寒冷に転じた中期以降、弥生時代の開始期に至る環境の変化を復元し、集落の立地、消長、資源利用の実態を明らかにすることを通じて、縄文時代の長期的な環境変化に対し、人がどのように適応し、戦略的に生活を営んできたのかを解明することを目的としている。 2022年度は湖山池沿岸を代表する縄文時代遺跡である桂見遺跡に関する①~③の調査や分析を実施し、④研究分担者、同協力者とのミーティングを開催した。 ① 1976年に鳥取市教育委員会が発掘した桂見遺跡出土土器(縄文時代中期後葉)から内面に炭化物が付着した土器片を抽出し、炭素窒素安定同位体分析と炭素14年代測定を実施した。その結果、C3植物・草食動物・海産魚類などに由来する炭化物、C3植物・草食動物に由来する炭化物が付着した土器片があることが分かった。一方、炭素14年代は、測定試料が海産物を含む炭化物だったことから、海洋リザーバー効果の影響で期待した年代よりも古い年代を示すことになった。 ② 鳥取市教育委員会が保管していた桂見遺跡の縄文時代中期後葉の遺物包含層を水洗し、約30点の種実を得た。 ③ ボーリング調査地点を絞り込むための予備調査として、桂見遺跡を踏査し、微動アレイによる地中の堆積及び洪積層までの深度を探査した。その結果、桂見地内の谷筋に10m前後の沖積層が堆積していることを把握した。 ④ 5月、9月、12月にミーティングを開催。湖山池南岸地域における環境変化と遺跡の動態、桂見遺跡出土の縄文土器、千代川西岸の砂丘遺跡、千代川流域の遺跡出土木材からみた縄文時代の環境変化に関する研究報告を行い、意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鳥取市桂見遺跡を調査対象として、今年度の目標としていた土器炭化付着物の自然科学分析、植物遺体の調査、ボーリング調査地点を選定するための現地踏査、微動アレイ探査を実施することができた。引き続き、桂見遺跡周辺遺跡を対象とした調査の充実をはかりたい。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の現地調査、微動アレイ探査の成果をもとに、桂見遺跡でのボーリング調査を実施する予定である。また、桂見遺跡出土土器の年代学的調査の補足、植物遺体の同定、研究協力者と桂見遺跡周辺に分布する縄文時代遺跡の検討を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費の執行残により次年度使用額が生じた。次年度にその他経費(分析委託料)に加算し執行する計画である。
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