研究課題/領域番号 |
22K00995
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
初村 武寛 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80634279)
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研究分担者 |
稲田 宇大 (金宇大) 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20748058)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 3Dスキャン / 図化困難資料 / 資料化 / 古墳時代 / 副葬品 |
研究実績の概要 |
私たちが現在目にする歴史資料の中には、遺存状態が良好であるが故に図化・資料化が困難な資料が存在する。研究代表者が研究の主体とする古墳時代の甲冑などでは、図化・資料化に数日を要する資料も数多く、なかなか個人の調査レベルでは対応しきれないものが存在する。そうした資料について、3Dスキャナを活用しながら図化・資料化を効率的に進めることが本研究の主目的である。 令和4年度は、必要機器等を購入するとともに、奈良国立博物館蔵珠城山古墳群出土遺物、天理大学附属天理参考館蔵天の宮古墳出土遺物について3Dスキャンから展開画像の作成を進めた。また、これらの研究方針に則り、古墳時代の同型鏡群について、3Dスキャンを実施、比較検討した成果も公表した。 ただし3Dスキャナを用いて作成した画像は客観的な凹凸画像に過ぎない。現在の研究レベルまで昇華させるためには、詳細な構造や製作技法を観察・検討した結果として位置づけられる『実測図』の作成が必要となる。 3Dスキャンにより得られた図は数値情報を持っているので、等倍にして実測図の下図とすることが可能である。こうした作業を効率的にかつ現地で作業を進めることにより、文化財の実見という限られた時間の中で最大限の情報を引き出せる手法の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の主対象としてきた資料群について、順調に調査を進めている。調査時の計測から下図作成までの段階については、おおむね順調に作業が進展しており、作業方針も固まっているところである。 しかし、肝心の図化段階についてはまだ着手できていないところもあるため、今後この作業を早急に進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
3Dスキャンした資料群の図化等については、大枠が固まっているためにハードルはかなり低くなっている。しかし、多くの資料をスキャン可能であるために、欲が出ると図化できる資料も多くなってしまうという面ももつ。研究完了までの時間と作業量を天秤にかけながら、最大限の成果を出せる方向性を模索していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度においては概ね計画通りの用途に研究費を使用したが、年度末の最後に使い切ることができなかった。
令和5年度については、研究費の多くを調査旅費に充てる予定であるため、令和4年度研究費の残金についてもこの旅費に充て研究を遂行していく予定である。
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