研究課題/領域番号 |
22K01025
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研究機関 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
研究代表者 |
大島 光春 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40260343)
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研究分担者 |
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70300960)
加藤 ゆき 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70342946)
松本 涼子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 学芸員 (00710138)
鈴木 聡 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 学芸員 (40782313)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 三次元デジタルデータ / オープンデータ化 / 脊椎動物標本 / 骨格標本 / 標本データの権利関係 |
研究実績の概要 |
生物学の研究・教育および普及活動において、標本の三次元デジタルデータ(以下、3Dデータ)化とその活用は、映像からモデルまで多様で正確な情報を提供し、科学的な理解に大きな役割を果たしている。しかし、3Dデータの保存・管理方針や公共財として利活用する際の権利などについて論点が整理され共有されているわけではない。3Dデータは、画像・映像として、また3Dプリント等のデジタル・ファブリケーションにも 活用できるので、研究・展示などの教育普及およびコロナ禍で高まるオンライン学習目的にとどまらず、商業利用の素材としても大きな可能性を持っており、社会的にもオープンデータ化の期待が高まっている。本研究では、自然史博物館が所蔵する標本の3Dデータ化とそれを利用した展示制作をおこなうと共に3Dデータのオープンアクセス化について条件の整理を試み、利用のルールを提案する。 令和4年度は主に両生・爬虫類、陸生哺乳類、鳥類、古脊椎動物(主に爬虫類)の各分野で頭骨を中心に3Dスキャナやフォトグラメトリーで3次元デジタルデータを制作し、蓄積を進めた。哺乳類ではニホンカモシカ、ニホンジカ、ニホンザル、テン、タヌキ、ムササビ、アライグマ、アカギツネの頭骨と骨の一部のデータを制作し、生命の星・地球博物館のウェッブサイト内「神奈川の自然 哺乳類」<3D画像からさがす>で試験的に公開している。当該サイトでは「画像の読み込みに数十秒かかります」と表示され、回線速度にもよるが実際に時間がかかることが課題となる。ただし読み読んでしまえば動作は回転などのスムーズである。このサイトの活用のされ方や活用方法の提案も研究課題となってきた。それらに加えて3Dデータを活用して比較形態学的研究も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
3Dスキャナの選定に時間がかかったこと、選定したスキャナやPCの発注から購入までに時間がかかったこと、届いたPCについてメーカーとのトラブルが生じたことから、3Dデータを制作する作業が遅れてしまった。現在は一部を除き解決していることから今後の状況は改善するものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、今後以下のプロセスで進める。 進行中:令和5年については現在進行中の ① 生命の星・地球博物館が所蔵する標本の3Dデータ化について、より多くの標本のデータを集積する。また、そのデータを活用して生物学的研究を行い、その成果を普及活動に応用する。 取り掛かる: ② 博物館におけるオープン化された3Dデータの利用ルールを新たにつくる。制作した3Dデータは、(一部は研究で使用した あと)当館の収蔵資料DB Musetheque に登録し、公開する。現在公開されている標本の属性情報や2D画像には二次利用の条件が示されている 。3Dデータをどの程度オープン化できるかについては、使用条件と共に検討する必要がある。現在提供中の2D画像データの権利関係を整理し、今後進める3Dにおいて営利的な利用の制限と、流通や利用促進のバランスを考慮した議論を進める。その後当館の3Dデータ利用のルールを学会などで 博物館界に提案することで議論のきっかけとしたい。 その後:③ 3Dデータを使った展示を制作・複数箇所で同時開催する。3Dデータを使い、3Dデータだからこそ可能になる展示や展示方法を考え、小規模な企画展で試行する。同時展示の後は、巡回展として、また学校等で教材として活用することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他館の状況視察・打ち合わせが対面がしにくい状況にあったこと、参加を予定していた学会等がオンライン開催となり、旅費が不要となったことなどから、次年度使用が生じた。今後に使用予定である。
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