研究課題/領域番号 |
22K01032
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
楮原 京子 山口大学, 教育学部, 准教授 (10510232)
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研究分担者 |
立石 良 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (30823322)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日本海東縁 / 鮮新-更新統 / テフラ / 地殻変動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「地質情報の空白域」ともいわれる沿岸域において,巨大地震を起こしうる活断層(震源断層)の分布・形状を明らかにする手法を確立することである.従来,活断層は,新期の地形あるいは地層の累積的な変位・変形により認定されてきた.しかし,再来間隔の長い活断層による変位地形は風雨によって失われやすく,地形判読に基づく認定では限界がある.特に,外作用による地形変化が著しい沿岸域では,活断層が見落とされがちとなる. 一方,日本における地殻変動が現在と同じ状況になる直前の『鮮新世』では,東北日本を中心に浅海域が広がり,この時代に堆積した地層の現在の分布・形状においては,第四紀の地殻変動を包含すると考えられる.そこで,本研究では鮮新-更新世の浅海から内湾性の地層の高度分布が異常に高い地域を抽出,精査し,地質の分布を説明しうる震源断層を捉えようと試みる. 本年度は,精査地域を選定するために,まず数値標高モデル(DEM)と地質情報(地質図・重力異常図)を基に,鮮新統および更新統の分布を検討した.次に,検討結果をふまえて2地域の現地調査を行った.対象地域は石川県羽咋市から金沢市の日本海沿岸部(河北潟・宝達丘陵麓)および青森県津軽平野から七里長浜周辺である.それぞれの地域において,既存の地質図で鮮新世および更新世とされる堆積層の特徴を確認した.いずれの地域においても陸上の標高10m前後において,生痕を含む浅海から内湾の環境下にある堆積層を観察し,引き続き,調査研究を進める地域としての適性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度前半に,緊急性のある調査研究を受託したことにより,本調査・研究に十分な時間を割くことができなかった,一方で,期間が限られていたものの野外調査では多くの知見を得ることができ,GISによる地形・地質情報の分析・整理も順調であることから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度,津軽地域の現地調査において,内湾性泥層中に連続性が非常によいテフラが確認された.本地域の地殻変動を明らかにする上で鍵となる層準と思われる.今後,この地域におけるピットないしボーリングの掘削調査を行うと共に,高速道路建設に伴って掘削された既存ボーリング資料も参照し,上記のテフラおよび鮮新-更新統の空間的な追跡と分析を進める.また,地層の空間分布を明らかにするためにも沿岸部での測量を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は前半に十分な時間をとることができず,短期間の現地調査となった.また,津軽地域における調査は年度末となってしまったため,試料採取および分析が充分に行えなかった.以上の理由により,旅費の一部と分析にかかる経費を次年度に送ることとなった.2023年度は現地調査の期間を多くすると共に,ピットないしボーリング調査を実施し,テフラや土壌の分析も行う予定であることから,当初の計画に沿った予算執行となる見込みである.
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