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2022 年度 実施状況報告書

ベトナムの農村工業化と非周辺的地域労働市場の形成―日本・韓国の経験と比較しつつ

研究課題

研究課題/領域番号 22K01045
研究機関岡山大学

研究代表者

金 どぅ哲  岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (10281974)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード農村工業化 / 地域労働市場 / 脱農在村 / ベトナム / 韓国
研究実績の概要

本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、前半は統計データの定量的分析を行い、後半はロンアン省ベンルック郡(ホーチミン市周辺の近郊農村型)での現地調査を行う予定であった。しかし、ベトナムにおいて新型コロナウイルスによる移動制限が一部解除されたものの、メコンデルタの農村地域における現地調査は依然として許可されず、後半の現地調査先を韓国の昌原市周辺の工業団地に変更せざるを得なかった。
その結果、急速な成長を遂げているベトナムの総人口は1990年の約6,600万人から2020年の約9,800万人へと急増したが、同時期の農村人口は約5,300万人から6,200万人へと約17%の増加に止まり、総人口に対する農村人口の割合が約80%から63%までに低下したことがわかった。さらに、2000年代以降はとりわけ農業世帯数の減少が顕著で、それらの脱農在村人口の多くが製造業ないしサービス業へ吸収されていったことが分かった。また、ベトナムの家計調査(Vietnam Household Living Standards Survey(VHLSS))のデータを分析した結果、ベトナムにおける脱農在村人口の大半が比較的高学歴の男性若年層であり、農村世帯の所得源が急速に多様化し、非周辺的農村変容の可能性が示唆された。
一方、韓国の昌原市周辺の工業団地での現地調査の結果、1990年代までの地域労働市場におけるミスマッチングは外国人労働者の流入によって部分的に解消され、従来からの農村地域の空洞化が進んでいる中でも地域労働市場がグローバルな展開を示す新たな局面に入っていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は依然として新型コロナウイルスによる移動制限を受けながらも、上述のような成果を得ることができた。しかし、メコンデルタの農村地域には依然として調査許可が下りず、予定していたメコンデルタにおける現地調査はできなかった。ただ、韓国における現地調査の結果、外国人労働者の流入によって地域労働市場におけるミスマッチングが解消されつつあることを突き止めたことは注目に値する。

今後の研究の推進方策

次年度は、メコンデルタの農村地域における現地調査が許可されれば、労働力の需要側の進出企業と供給側の農家の両方から聞き取り調査を行う。そして、日本と韓国における農村工業化の新たな局面を解明すべく、両方の現地調査も同時に行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度に計画していた現地調査が新型コロナウイルスの影響で中止されたため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] フエ農林大学(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      フエ農林大学
  • [雑誌論文] Why the Land Consolidation of Vietnam is Incomplete: A Case Study of Binh Dao Commune, Central Vietnam2022

    • 著者名/発表者名
      DUONG Thi Thu Ha、Kim Doo-Chul
    • 雑誌名

      Geographical review of Japan series B

      巻: 95 ページ: 69~82

    • DOI

      10.4157/geogrevjapanb.95.69

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2023-12-25  

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