研究課題/領域番号 |
22K01076
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
関 恒樹 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (30346530)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 都市貧困 / 統治性 / パンデミック / 福祉 / ケア / 社会住宅 / フィリピン / 都市人類学 |
研究実績の概要 |
本研究は、グローバル・サウスの都市社会に存在する不確実性(uncertainty, precarity)が、COVID-19パンデミックによっていかなる新たな屈折を加えられ、そこではいかなる統治性が顕在化し、それに対し人々はいかなる社会性を紡ぎ出しつつ対処し、新たな公共圏的広がりが生まれつつあるのか、これらの点の解明を目的とする。特に本研究では、ポピュリズムとも強権政治とも形容されるロドリゴ・ドゥテルテ大統領政権下のフィリピンを対象として、「アジアで最も長期間かつ過酷なコロナ対策」といわれる「コミュニティ防疫体制」の下で、いかなる新たな不確実性や分断が生じているのか、同時に人々の間にはいかなる協働や連帯の萌芽が見出されるのかを浮き彫りにする民族誌に基づき、上述の問いを検討する。 研究初年度である2022年度は、関連文献の収集、閲読により、テーマや理論的視点を明確化すると同時に、フィリピンにて予備調査を行うことを試みた。フィリピンには2022年12月、1月、そして2023年3月に滞在した。都市貧困層居住区、再定住政策実施主体の地方自治体などを主に訪問し、コロナ前のネットワークの再構築が主な目的であった。マニラ首都圏マリキナ市マランダイ地区の調査地、さらにはパッシグ市のPasig Urban Settlement Officeなどを訪問し、コロナ禍において、都市貧困層住民の経験した、新たな不確実性、リスクなどについて状況把握につとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パンデミックによる海外渡航規制も緩和され、3年ぶりにフィリピンへの渡航が可能になり、予定していた予備調査を実施することが出来た。調査地、政府機関などにおける、コロナ前から築いてきたネットワークを再活性化することができ、今後の調査についても十分な理解と協力を得られた。文献など研究に必要な資料、機器も問題なくそろえられている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、夏季休暇、春期休暇を利用して、集約的な現地調査を行う予定である。ドゥテルテ大統領からマルコス大統領へと政権が変わったことにともない、コロナ対策をも含む様々な社会政策にいかなる変化があり、それが住民へのどのような統治の側面を示唆しているのかという点も、次年度に特に注目する点になる。
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