研究課題
本年度は、まだコロナ禍の影響があり、対面での研究会は実施できなかったが、オンラインにて国内の研究者とともに研究会を実施した。また国内の研究者とともにFGM/C研究会を継続しており、それら研究会の成果として英文書籍が出版された。本研究の特徴は、これまではアフリカ地域で実施されていた文化や慣習として実施されてきた切除であるFGM(Female Genital Mutilation」だけを「女性器切除」として取り扱うのではなく、日本の「会陰切開」や「美容整形」での性器切除も、女性の身体と自己決定という側面から検討を行うという点である。その一つの試みとして、日本国内で不必要な会陰切開をしないお産を推奨している産婦人科の医師を招き、勉強会を実施した。WHOでは不要に会陰を切開しないことを勧告しているものの、日本国内では会陰切開や、その後の縫合が行われる。「日本にはFGMが無い」と言われることがあるが、そうと言い切れるだろうか。このような「医療」という名における切開や、また美容整形という分野での女性器切除が存在する。今年度は文献研究や国内での研究会などを行い、来年度からの質的な調査の準備を行った。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍の影響で当初の予定通りの海外渡航ができなかったものの、国内での研究会の実施、海外の研究者とのオンラインでの交流など、本研究を進めることができた。
2023年度もFGM/C研究会を実施し、国内の研究者と議論を深める。また調査としてオーストラリア在住のアフリカの人々に対するインタビュー調査を予定している。これまでの研究では、オーストラリアに移住している難民や移民の中でFGMを継続させたり、出産後も縫合を希望する女性がいるという。そのような女性たちを対象に、カウンターパートの海外の研究者とともにインタビュー調査を行い、まずは現状を把握する。そのために、日本国内、海外での倫理審査の準備を進め、プレ調査を実施する。2024年度に本格的なアンケートやインタビュー調査を行う予定である。
当初予定をしていた国内での対面での研究会をオンラインにしたため、国内旅費として予定をしていたものを来年度に繰り越しすることとした。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
In: Nakamura, K., Miyachi, K., Miyawaki, Y., Toda, M. (eds) Female Genital Mutilation/Cutting. Springer, Singapore
巻: - ページ: 73-90
10.1007/978-981-19-6723-8_5