研究課題/領域番号 |
22K01079
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
吉本 裕子 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 客員研究員 (20731053)
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研究分担者 |
吉田 ゆか子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (00700931)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アイヌ / 舞踊 / 観光 / 現代性 / 展示 / 民族イメージ |
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に実施できなかったインタビューを含む現地調査を行い、研究に進捗がみられた。 2023年4月~5月にかけて、白老、阿寒で和人を含むアイヌ舞踊の担い手から聞き取り調査を行い、観光地での舞踊実践やその歴史的変遷等について多くの情報を得た。加えて、和人配偶者の立場からも、アイヌ観光と観光者のまなざしについて話を聞くことができた。 2023年7月から、インドネシアの芸能研究を専門にしている吉田が研究分担者に加わり、白老、阿寒を中心に共同調査を行うとともに、バリ舞踊の実演との比較から頻繁に意見交換を行っている。2023年8月~10月にかけては、道内各地で行われる祭祀儀礼や舞踊関連イベントに複数回参加し、参与観察を行いつつ、映像・写真撮影も行った。こうした参与観察の現場から新たな交流の場が広がり、これまで接触できなかった多様な踊り手や歌い手から「見せるための舞踊」実演について、インタビューを行うことができ、踊りと展示・観光との関わりを考察するうえで、有益なデータが得られた。 これまでの研究成果を、横浜市立大学教室セミナー(一般公開型・2023年11月)や神奈川大学人文学研究所主催「アイヌ語」開講記念講演会(一般公開型・2024年2月)にて、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
信頼関係の構築が十分でない地域の人々への聞き取りや撮影を伴う調査は慎重を期しており、一部の調査に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで収集した聞き取りデータの整理が遅れており、書き起こし作業を可及的速やかに行い、考察を深めてゆく。2025年1月には、民族音楽学や舞踊学の代表的な国際学会であるThe International Council for Traditions of Music and Danceにおいて、Challengers of Dance Theater “Lost Kamuy”: Tourism and Dance Tradition in Akan Ainu Community と題したテーマで、吉本、吉田が口頭発表を予定している。加えて、吉本が2024年9月に青森で開催予定の日本オーラル・ヒストリー学会大会での個人発表を準備中である。その他、国内外の学会や一般向けの講演会などを通して研究成果を発表しながら、論文執筆を進めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述したように、信頼関係の構築が十分でない地域の人々への聞き取りや撮影を伴う調査は慎重を期しており、一部の地域での調査が滞っている。よって、それらの調査にかかる旅費謝金が執行されず繰り越しとなった。2024年度は、人脈を頼りつつ、できる範囲内で調査を進める予定であるが、万一調査が不可能な場合は、これまでに収集できた調査データ内で考察を深め、一般市民向けのワークショップを開催するなど成果発表の予算として使用したい。
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