研究課題/領域番号 |
22K01081
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
田所 聖志 東洋大学, 社会学部, 教授 (80440204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 資源開発 / 社会変動 / 自然災害 / オセアニア |
研究実績の概要 |
初年度にあたり、天然資源開発に対する地域住民の対応過程の理論化を目指して、既存の文献の購読、これまでに収集した調査データの整理・分析、国際学会における現在までの研究成果の発表、調査地の知人へのオンラインインタビューという4つの研究活動を実施した。 (1)文献研究としては、American Anthropologist誌、American Ethnologist誌、Cultural Anthropology誌、Oceania誌を中心とした学術雑誌に掲載された関連文献ならびに関連書籍の購読を進めた。また「ポストコリエ」紙や「ザ・ナショナル」紙といったパプアニューギニアの現地の新聞記事を調査し、関連した記事を読み進めた。(2)収集した調査データの整理・分析としては、インタビュー資料の文字化を進めた。(3)国際学会での発表としては、応用人類学会にて「パプアニューギニア高地における天然ガス開発が人々の社会・環境変化の捉え方に与える影響」(The Impact of Natural Gas Development on People's Way of Understanding Social and Environmental Change in the Highlands of Papua New Guinea)と題した研究発表を行った。応用人類学会では、資源開発が地域社会に与える影響という同じ関心を持つアメリカ合衆国やフィリピンなど海外の研究者と知己を得ることができた。(4)調査地の知人へのオンラインインタビューとしては、比較的短時間の情報交換を行った。現地の現在の状況についての情報を収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に予定していた文献研究、収集した調査データの整理・分析、学会発表、現地の知人との情報交換という研究活動は実施できた。その一方、2023年度に予定していた現地調査の準備には計画の遅れが生じた。調査地の治安が悪化するという当初予期していなかった状況が発生したからである。これに対応するため、調査地の知人との連絡を続け、現地の状況の情報を収集すると同時に、2023年度に予定していた現地調査の実施が不可能になった場合の対応や研究計画の修正の検討を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
調査地の治安の悪化によって現地調査が実施できない場合を想定し、研究計画の変更を検討している。変更と対応策の要点は次の通りである。(1)調査地の出身者で近年に首都ポートモレスビーに移住した人々や短期滞在中の人々へのインタビューを計画する。(2)現在までに収集した資料で分析を終えていないデータの分析を進める。(3)関連するテーマの新聞記事や雑誌記事、関連会社の報告や統計資料などをデータとする文献研究を計画する。(4)現在入手できているデータに基づいた研究報告の発表準備に注力する。(5)調査地の治安状況が好転した場合に備えて再訪問する準備を整えておく。(6)関連する調査研究を行う海外研究者を訪問をすることによって研究内容の深化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度では当初予定よりも書籍購入額が少なく、また国内出張を実施しなかったため、当該助成金が生じた。2023年度には、書籍購入、現地調査、関連する海外研究者への訪問に充てる。
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