研究課題/領域番号 |
22K01084
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
廣田 律子 神奈川大学, 経営学部, 教授 (70260990)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ヤオ / 神話 / 歌謡 / 儀礼 |
研究実績の概要 |
多媒体で表現されるミエンヤオの飄遙過海神話と儀礼について立体的に分析するために一つ一つの媒体について研究活動を進めた。漢字経典『大歌書』の解明に関しては、9月に趙金付祭司へ聞き取り調査を実施し、それに基づき『大歌書』の内容解読を進め、『瑶族文化研究所通訊』第10号で成果を報告した。女性歌女の使用漢字経典についても複数の版本を比較しながら内容の解読を進めた。神画については、今後の研究材料として170点余りの中国の神画を収集した。さらに神画のスキャンデータをヤオ族文化研究所のウェブサイトで公開した。舞踊の表現についてはデータを研究協力者と共有し、立体モデルの作成を試みた。 国内外のヤオ研究者との研究会をオンラインおよび対面で実施した。ヤオ族文化研究所主催のヤオ族文化研究会を2023年度は4回開催し、特に中国・香港の若手研究者の発表の機会となり、次世代の研究者養成に成果をあげた。国外のヤオ研究の拠点の香港大学において「International Workshop on Yao Healing Rituals」のテーマで学術交流を行った。ヤオの文化を現地社会で認知してもらうために中国のヤオ研究拠点である広西民族大学(中国南寧)において講演を実施した。台湾のヤオ研究の拠点の輔仁大学において学術交流を行い、今後の神像画展開催について話し合った。 1980年代~2000年代に撮影した資料をデータ化し、公開する作業を進めた。 2024年10月に神奈川大学みなとみらいキャンパス開催の国際シンポジウム『助成金を獲得して実施した(2006年~現在)ヤオ族関連研究成果最終報告会「ヤオの多面性と統一性」』および神奈川大学ミュージアムコモンズ開催の神像画展の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長らく対面での祭司への聞き取り調査ができなかったが、再開することができ、『大歌書』の解読を進めることにつながった。 国内外の研究者と共に対面およびオンラインでの研究会を頻繁に開催し、こちらからもヤオ研究の拠点の中国・台湾・香港で開かれる研究会等に参加することで、国内外の多方面の研究分野の研究者と交流を進めることができた。それにより研究材料の相互の提供が実現し、種々な問題について見解を出し合う環境が整い、研究を前進させることにつながっただけでなく、ヤオ文化の保存・活用・継承に役立つヤオ文化の認知活動への展開の可能性も模索できた。
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今後の研究の推進方策 |
国際シンポジウム『助成金を獲得して実施した(2006年~現在)ヤオ族関連研究成果最終報告会「ヤオの多面性と統一性」』を10月に開催し、中国・香港・台湾・タイ・ベトナムのヤオの研究拠点機構から研究者を招へいし、日本の研究者も加わり最新の研究成果発表と議論を深めることで、さらに研究を進める。 祭司も招へいすることで聞き取り調査も実施し、さらなる『大歌書』等の経典や儀礼内容の解読に繋げる。 ヤオ文化の認知活動の一環として、神奈川大学ミュージアムコモンズにおいて神像画および収集資料の展示を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年10月神奈川大学みなとみらいキャンパス開催予定の国際シンポジウム『助成金を獲得して実施した(2006年~現在)ヤオ族関連研究成果最終報告会「ヤオの多面性と統一性」』に必要な経費をまかなうため次年度使用が生じた。 国際シンポジウムの予稿集の印刷費等に充当する。
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