研究課題/領域番号 |
22K01094
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
分藤 大翼 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (70397579)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 無文字社会 / 狩猟採集民 / 民話 |
研究実績の概要 |
本研究は、カメルーン共和国の熱帯雨林に居住する狩猟採集民Baka(バカ)を対象に、民話の現代的な意義と活用法を明らかにし、他の無文字社会にも適応可能な民話の研究法ならびに活用法を考案することである。世界各地において伝統文化の継承が難しくなっているなか、特に文字を持たない社会において語り継がれてきた民話は、記録されることなく、語られる場や語り部の減少によって急速に失われつつある。民話に込められた伝統的な生活文化や価値観を、当該社会の人々が再認識し活かすために、本研究では民話の語りを撮影した映像を上映し、話しあう場を設ける。そして、その過程を記録し検討することによって、当該社会における民話の現代的な解釈、ならびに活用法を探求する。 本年度は、既に収集しているBakaの民話を精査し、新規に調査・収集する民話のテーマを検討した。また映像化にふさわしい民話や民話の場面を選択した。研究代表者がこれまでの調査において収集したBaka の民話の検討を通じて、民話には、人と精霊との関わりや、人と森の動植物との関わり、男女の関係等、生活に根差した重要なモチーフが描かれていることが分かった。以上の実績をもとに、次年度の現地調査に向けて、現地の協力者である先住民組織のスタッフと連絡を取り、調査の体制作りをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の計画は、令和5年度に実施する現地調査の準備という位置づけであった。現在までの進捗状況は、令和4年度の研究実績の概要に記したとおりであり、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度にカメルーン共和国において実施する現地調査では、これまでに撮影してきた民話の語りを上映し、民話の意味を説明してもらうことによって、Bakaの人々による民話の解釈を明らかにする。また、視聴者の反応や言動を映像によって記録し検討することによって、民話の語りが喚起する情動(喜び、悲しみ等)を解明する。さらに、Bakaの人々、先住民組織 のスタッフおよびカメルーンの研究者や映像作家と参加型映像制作を実施し、民話に基づく映画の制作を試みる。そして、試作品を参加者とともに検討する過程で、Bakaの人々による民話の現代的な解釈と活用法を探究する。
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