研究課題/領域番号 |
22K01123
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
大塚 浩 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (30324958)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 弁護士 / 社会運動 / 公益活動 |
研究実績の概要 |
当該年度においては、ポスト司法改革期の弁護士公益活動の概況を理解すべく、文献調査を実施することに加え、弁護士公益活動の現代的特徴があらわになっている具体的領域として、消費者運動、被害者支援、LGBTQの権利運動の調査を関西を中心に実施した。 そこでは、イデオロギーに導かれた従来型の運動から、むしろイデオロギーを超越し、政治的に多様な党派を結び付ける一種の公共空間としての社会運動が現出していると理解しうる兆候が表れているとの仮説的な分析が可能だと考えられる。 このような現代的な社会運動は、NPOなどの法人として、弁護士の公益活動の基盤を提供している傾向があるように思われた。ただし、その点は、各社会運動が基盤とする法人組織等が、それぞれ異なったパターンで弁護士活動の組織としての役割を果たしていることもまた観察の結果明確となってきている。 このような、異なった社会運動組織と弁護士の関係のパターンを生じさせるメカニズムが、ポスト司法改革時代の弁護士界の変化・変動とどのように関連しているのかは、当該年度の研究活動によっては、いまだに明確な仮説を提示することができていない。 したがって、5年度以降の研究においては、弁護士界の階層分化や多様化といった、ポスト司法改革期以降に生じていると想定されている傾向が、社会運動の組織や活動、理念のあり方とどのように関連し、そしてまた、公益活動組織としての社会運動というアプローチにどのような展望が描けるかを具体的に示すことができるような調査・研究プランを具体的に展開していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査が想定よりも若干遅れている面があるが、総合的にはおおむね順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
社会運動組織と弁護士の関係に多様なパターンがありうることがこれまでの調査研究で明らかとなりつつある。そのため、社会運動の法戦略に弁護士がどのようにかかわるか、また、社会運動が弁護士公益活動の組織的基盤を提供するものとして有望といえるのか、というリサーチクエッションに従い、これまで調査対象としてきた社会運動とは弁護士の関与のあり方という点で異なった側面を有しているように思われる対象を選択し、調査の幅を広げ、より一般化可能な知見を獲得すべく研究計画をブラッシュアップしつつ遂行する予定である。
|