研究課題/領域番号 |
22K01124
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川島 翔 九州大学, 法学研究院, 准教授 (30822796)
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研究分担者 |
佐々木 健 京都大学, 法学研究科, 教授 (70437185)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 民事執行 / 訴訟 / カノン法 / ローマ法 |
研究実績の概要 |
今年度は引き続き国内外の研究動向調査を継続しつつ、各分担課題に沿って研究を行った。西洋中世に関しては、中世の国制や紛争解決に関する近年の文化史的なアプローチを用いた研究を踏まえて、紛争におけるコミュニケーション手段としての儀礼、コンセンサスに基づく正統性の創出などの諸論点につき、課題領域におけるその有効性と射程を検討した。前近代における執行の問題は、多元的な法秩序とも関わる。この点、近年、法制史学においても法多元主義に関する研究が多く登場し注目されるが、その動向を扱った論文の執筆の進めた。また、公法(学)に関わるカノン法上のテーマにつき研究報告を行い、公法学(史)における教会の国家性に関する議論を紹介しつつ、選挙法、代議制、職務法・官僚制、行政行為などの領域へのカノン法の影響について論じた。古代ローマに関しては、特に相続法に着目し研究を進め、論文を発表した。古代ローマでは、法定相続に反する遺言作成も有効と認められる余地が大きく、法律を強制するモーメントが必ずしも前提とされなかった。しかし、法定相続人の期待が害されることから、調整問題として、遺産の4分の1を、法定相続人に留保する手続があった。相続結合や財産持戻しは、そのような背景に由来するが、この点は、本邦では意識されることが少なかった。そこで、改めてこの点に光を当て、強制がなくとも人々が自由と制約とを同時に守ろうとしていた点を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画のとおり研究を進め、複数の論文発表や研究報告を行うことができた。また、定期的に意見交換の機会を設け、共通課題について認識を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き各分担課題に沿って個別に研究を進めると同時に、共通課題の集約作業に着手する。
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