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2022 年度 実施状況報告書

補完的保護制度に関する日本とオーストラリアの比較研究ー国内法と国際人権法の共同

研究課題

研究課題/領域番号 22K01130
研究機関小樽商科大学

研究代表者

坂東 雄介  小樽商科大学, 商学部, 准教授 (50580007)

研究分担者 松本 裕子 (小坂田裕子)  中央大学, 法務研究科, 教授 (90550731)
安藤 由香里  大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 招へい准教授 (20608533)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード難民 / 補完的保護 / 入管 / ノン・ルフルマン原則
研究実績の概要

本研究は、難民条約上の難民には該当しないが同様に保護すべき者を保護する枠組みである補完的保護制度を、国際人権法の発展と対比しながら、日本の法制度・裁判例を批判的に検証することを目的としている。
2022年度は、研究代表者である坂東は、オーストラリアにおける国際人権規範の受容と実現に関する法理論を明らかにする研究を行った。この研究成果は、商学討究 73(4) 109-127頁に掲載されている。 この研究は、国際人権規範を取り込んだ国内法では難民をどのように位置づけるのかを明らかにするための基礎研究としての意義がある。坂東は、日本大百科全書(ニッポニカ)において「難民」「難民保護制度」に関する解説記事を執筆し、日本における補完的保護の位置付けを明らかにした。
さらに、坂東は、研究分担者である安藤とともに、グローバル・ガバナンス学会において共同で学会発表を行った。これらの研究成果を通じて、日本の難民保護制度を明らかにし、日本において補完的保護が十分に捉えられていないことを指摘した。
安藤は、『ノン・ルフルマン原則と外国人の退去強制―マクリーン事件「特別の条約」の役割』(信山社,2022)を公刊した。これは、ノン・ルフルマン原則の発展状況を明らかにしたものであり、日本法では十分には反映されているとは言い難いノン・ルフルマン原則を実践に移すための基礎となる意義・重要性を有する。さらに安藤は、「外国人の追放に関する条文草案」の翻訳を完成させ、ノン・ルフルマン原則の国際人権規範上の発展を明らかにした。この研究成果は、比較法雑誌56(1) 27-60頁に掲載されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者である坂東は、論文を1本、解説を2本を公表するとともに、研究分担者である安藤とともに共同で学会発表を1本行うことができた。研究分担者である安藤は、単著を1本、資料を1本公表することができた。以上より研究が順調に進んでいることが示される。

今後の研究の推進方策

2022年度は、順調に各自が研究を進めることができた。2023年度も同様に研究会を継続的に開催し、意見交換を活発に行い、さらなる活動実績を積み重ねていく予定である。2023年度は、入管法改正案が研究課題の中心トピックとなるため、立法担当者や実際に外国人支援を行っている方たちも含めて意見交換の機会を設ける予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの流行により出張に行く機会が激減したため、旅費が大幅に余ることになったため、次年度使用額が生じた。しかし、本年度は、昨年度に実施できなかった分の出張、調査を実施する予定であり、昨年度の繰越分を使用するため、予算を十分に消化する見込みである。

備考

坂東は2022年度に小学館が運営しているWebサービス「日本大百科全書(ニッポニカ)」に上記タイトルの解説を研究成果として執筆した。雑誌論文、図書、いずれのカテゴリに収まらないため、ここに記載する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] オーストラリアにおける人権保障 ― 権利章典を持たない国の人権保障と国際人権規範2023

    • 著者名/発表者名
      坂東雄介
    • 雑誌名

      商学討究

      巻: 73(4) ページ: 109, 127

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 国際法委員会「外国人の追放に関する条文草案」の研究( 3・完 )2022

    • 著者名/発表者名
      安藤由香里
    • 雑誌名

      比較法雑誌

      巻: 56(1) ページ: 27, 60

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 補完的保護の「定義」と保護の形態―日本における議論の整理と国際的な議論動向との相違2022

    • 著者名/発表者名
      坂東雄介
    • 学会等名
      グローバル・ガバナンス学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「入管収容をめぐるグローバル・ローカルな法制度:ウィシュマ・サンダマリさんの死の背景」2022

    • 著者名/発表者名
      安藤由香里
    • 学会等名
      グローバル・ガバナンス学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「札幌高裁令和4年5月20日判決―トルコ国籍クルド人難民認定の意義と難民関連訴訟の課題」2022

    • 著者名/発表者名
      安藤由香里
    • 学会等名
      国際人権法学会
    • 招待講演
  • [図書] ノン・ルフルマン原則と外国人の退去強制2022

    • 著者名/発表者名
      安藤 由香里
    • 総ページ数
      428
    • 出版者
      信山社出版
    • ISBN
      9784797282535
  • [備考] 難民

    • URL

      https://japanknowledge.com

  • [備考] 難民保護制度

    • URL

      https://japanknowledge.com

  • [備考] ウィシュマさんの死の背景と入管収容問題

    • URL

      https://jsil.jp/wp-content/uploads/2022/04/expert2022-7.pdf

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公開日: 2023-12-25  

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