研究課題/領域番号 |
22K01141
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
加藤 友佳 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (50737723)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 租税法 |
研究実績の概要 |
少子高齢化の影響が最も深刻なわが国では、高齢者住まい施設の需要が急増し、社会的重要性も高まっている。そこで本研究では、社会保障法を根拠法とする高齢者住まい事業の租税法上の解釈について両法の関係性から解明し、効果的で持続的な社会福祉制度と税制のあり方について提言を行うことを目的とする。 この目的を達成するために、本研究では租税法における高齢者住まい事業の性質について、公益性と課税の公平性の観点から、各事業に係る複数の根拠法を横断的に分析し、国際的な議論を交えて検討する。 本年度は、高齢者住まい事業について、社会福祉制度等から租税法と社会保障法の関係性を分析することに着手した。まず、本研究における問題意識の中核となる判例のほかに、これまでの社会保障法と租税法の判例を収集してそれらの論点整理を行うとともに、関連する社会保障法の改正の変遷の把握を行った。具体的には、本研究の対象となる高齢者住まい事業として、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、介護付有料老人ホームなどの性質を法令および通知等から分析し、概括的な比較をすることができた。 本研究では、テーマ設定を「法人税法における高齢者住まい事業の性質」に限定しているものの、同事業の性質を把握するためには、社会保障法を規制・手続きの観点から横断的に検討する必要があることから、本年度は判例・学説の収集とその分析、関係法令の整理に努めたため、詳細な検討結果を得られたわけではないが、研究の基盤を構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、本研究が対象とする高齢者住まい施設の今日における位置づけや、根拠法などを整理し、これらの法的性質からその関係性を明らかにすることができた。 また、研究会等において報告する機会を得ることができたため、租税法の観点からだけではなく、行政法や法哲学など多様な知見を得ることも実現した。これらのことから、本年度は有益な研究年度であったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、社会保障法を根拠法とする高齢者住まい事業を租税法上どのように解釈すべきかについて両法の関係性から解明することにあるため、今後は、関係する判例の抽出をおこない、各法における解釈や通達の位置付けについて研究をすすめる。初年度は資料収集等を主にしていたため、次年度は初年度で得られた知見をもとに論文の執筆にも努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属先が変更となり、旅費が抑えられたため。次年度は感染症拡大も収まりつつあるため、対面開催の学会等に参加する予定である。
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