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2022 年度 実施状況報告書

大学評価制度を統制する学問の自由論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K01158
研究機関岡山大学

研究代表者

堀口 悟郎  岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (40755807)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード大学教員の独立 / 研究者の独立 / 教育者の独立 / 大学評価制度
研究実績の概要

「大学評価制度を統制しうる学問の自由論の構築」をテーマとする本研究課題は、従来の日本憲法学が憲法23条の規範内容として認めてきた「狭義の学問の自由」および「大学の自治」では大学評価制度を統制することは難しいという問題意識のもと、それらとは異なる新たな憲法理論を探究するものである。その新たな憲法理論としては、フランスで確立している「大学教員の独立」原則が有力候補になると考えており、当該原則の意義や大学評価制度との関係性、そして日本憲法学との接続可能性等を考察する予定である。
初年度である本年度は、「大学教員の独立」を「研究者の独立」と「教育者の独立」に分解し、両者の意義をそれぞれ個別に検討するというアプローチで研究を進めた。
大学教員は、「研究者」という地位と「教育者」という地位を併有しており、大学評価も「研究」と「教育」の双方を評価対象とする。この「研究者」と「教育者」が不可分一体となっている点に大学教員という職業の大きな特徴があるのだが、両者のどちらに着目するかによって議論の焦点は変わってくる。研究者と教育者はいずれも公権力等からの独立が認められるべきだと解されているが、そこでいう「独立」の意義や論拠等については、両者の間で差異があるはずである。そうだとすれば、研究者かつ教育者である大学教員の独立の意義を明らかにするためには、まず「研究者の独立」と「教育者の独立」をそれぞれ個別に検討することが有益だと考えられる。このような発想のもと、本年度は、「研究者の独立」に関しては、大学教員に限られない研究者の代表機関である「日本学術会議」をめぐる問題を検討し、「教育者の独立」に関しては、小中高校等(初等中等教育機関)の「教師」をめぐる問題を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「大学評価制度と学問の自由」という本研究課題の中核的テーマに関する論考を発表するには至らなかったものの、研究者の独立や教育者の独立(特に教師の教育の自由)に関わる研究業績を多数発表することができた。また、日本の大学評価制度の概要や変遷等についても、相当数の文献を収集し、順調に研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

今後は、研究者の独立および教育者の独立に関する研究を継続するとともに、研究者かつ教育者である「大学教員」の「独立」の意義について詳細な考察を行いたい。また、大学評価の制度内容や実態等について調査し、大学教員の独立との関係性について検討を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

いわゆる「コロナ禍」によって学会・研究会等の一部がオンライン開催となり、旅費の支出が抑えられたことなどから、若干の次年度使用額が生じた。次年度以降は学会・研究会の対面参加が増えると予想されるため、その旅費に充てるなどして使用したい。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] データ駆動型教育と教育の自由2023

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      教育

      巻: 925号 ページ: 68-75

  • [雑誌論文] 教員の多忙化という差別問題2023

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 818号 ページ: 12-17

  • [雑誌論文] 憲法学からみた教員多忙化問題――埼玉教員超勤訴訟を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      岡山大学法学会雑誌

      巻: 72巻3・4号 ページ: 65-110

  • [雑誌論文] EdTechと憲法2023

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      日本教育法学会年報

      巻: 52号 ページ: 90-98

  • [雑誌論文] 「不起立教員」と思想・良心の自由2022

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 501号 ページ: 65-72

  • [学会発表] EdTechと憲法2022

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 学会等名
      第52回日本教育法学会
  • [学会発表] 教育データ利活用と憲法2022

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 学会等名
      日本教育工学会2022年秋季全国大会
  • [学会発表] 憲法学からみた教育データ利活用2022

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 学会等名
      サイエンティフィック・システム研究会教育環境フォーラム2022
  • [学会発表] 憲法学からみた日本学術会議問題2022

    • 著者名/発表者名
      堀口悟郎
    • 学会等名
      近畿弁護士会連合会人権擁護大会シンポジウム
  • [図書] 人権Ⅱ2022

    • 著者名/発表者名
      毛利透編・堀口悟郎ほか著
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      信山社出版
    • ISBN
      9784797212273

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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