研究課題/領域番号 |
22K01161
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
松原 俊介 東北学院大学, 法学部, 講師 (80850750)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 平等 / 救済 / アメリカ憲法 / 同性婚 |
研究実績の概要 |
本研究は、日米における裁判所による不平等の救済方法について包括的な整理・考察をすることで実務での参考になるような理論的体系を構築することを目的としている。 研究代表者は、本年度以前からアメリカ合衆国連邦最高裁による平等違反の救済に関する研究に着手していたが、初年度である本年度は、これまで研究代表者が行っていたアメリカにおける平等違反の救済に関する研究を継続的に行った。具体的には、「立法者の意思」を基準に「レベリングアップ」か「レベリングダウン」かを選択するというアメリカ合衆国連邦最高裁の救済枠組みを検討するとともに、日本のいくつかの平等判例について上記枠組みを踏まえて再検討を行った(その成果を、「平等判例における救済判断の再検討」憲法理論研究会編『次世代の課題と憲法学』103-115頁として公表した)。 また、本年度は、近時日本で問題となっている同性婚をめぐる訴訟や性同一性障害特例法をめぐる訴訟についての検討を行った。同性婚をめぐる訴訟では、同性間の婚姻を認めないことの憲法適合性だけではなく、違憲と判断された場合の救済のあり方も重要な問題となるという問題意識のもと、現在までに出されている3つの下級審判決についての理論的検討を行った(その成果を、「同性婚問題からみる平等の救済方法」法学セミナー818号18-23頁などにより公表した)。このような検討を行ったことにより、違憲の救済に複数の選択肢があり得ることが憲法適合性の問題にも影響を与えうることが明らかとなり、今後の研究にとっての有益な手がかりを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては、研究計画において予定していた日本における判例・裁判例の分析に重点が置かれたが、同時にアメリカにおける平等違反の救済に関する研究も進めることができた。また、これらの研究に関するいくつかの成果を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目(2023年度)はアメリカ憲法に関する文献調査を進める。また、同性婚をめぐる訴訟や性同一性障害特例法をめぐる訴訟は現在も裁判所に係属中であり、今後の議論を踏まえながら検討を継続したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも書籍の調達に費用がかからず、次年度使用額が生じてしまった。次年度の書籍調達のために使用したい。
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