研究課題/領域番号 |
22K01231
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松原 正至 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (10252892)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | LLC / パートナーシップ / 組合 / 善管注意義務 / 株式会社 / LP / 合同会社 |
研究実績の概要 |
本研究は4年の研究期間を設定して進めている。令和4年度においては、これまでの研究で得られた知見をベースに、わが国において、事業の成長段階に応じて事業形態がどのように用いられ、法制度がそれを効率的に運用できるように提供されているかということについて、現状分析と比較法研究をすることとしており、実際に、それらを主として文献ベースで行った。その際に、特にこの分野での先進的役割を果たしている米国について、制度と判例を整理してわが国への示唆を得ることを意識した。 それらの成果については、まず、令和4年9月に開催された神戸大学商事法研究会にて、質疑応答を行う形で発表することができた。 さらに、本研究は起業の促進や事業の継続向けた最適な法スキームの提案を目的としている。この点につき、非常に重要な示唆をもたらすと予想される米国の判例を分析した。これは、パートナーシップという形で共同事業を実施している中で、一方当事者の利益相反行為により共同事業が破綻したという事例であり、他方当事者の保護に対してパートナーシップ法では限界があること、ならびにLLCを積極的に用いるべきとの議論があること等が理解できた。また、ある事業そのものではなく、その完成に向けた共同作業について、わが国でも民法上の組合法理を用いることで、一方当事者の善管注意義務違反を導くことができるのではないかという問題提起を行い、これらについて、令和5年3月刊行の広島大学法科大学院論集19号において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
起業の促進や事業の継続に向けたわが国の法制度の実態と問題点の把握と令和5年度以降の英国と米国の実態調査に向けた文献ベースでの研究という、本研究課題の1年目の研究は研究実績欄に記載の通り、概ね順調に進展していると考えている。ただし、英国の研究については未だ文献ベースでの情報収集に留まっており、その成果を急ぐ所存である。 なお、勤務校の学部移転が令和5年4月に行われたことにともない、令和4年に実施予定であった一部文献の購入・整理が持ち越しになっており、令和5年度にまとめて実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画にしたがい、令和5年度は英国におけるプライベート・カンパニーやパートナーシップ法制について、文献ベースでの研究と実態調査を行う予定である。また、令和6年度は米国についてLPやLLCについて同様の研究と実態調査を予定している。ただし、特にウクライナ情勢の影響から、為替レートが円安となっていること、航空運賃や宿泊料が高騰していること、さらにはストライキが頻繁に起こっていることなどから、英国と米国への実地調査については年度を違えて実施する可能性がある。また、本研究の最終年度にあたる令和7年にこれらの実態調査が延期される場合には、可能な限り先立って文献ベースでの調査・研究を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度後半から令和5年度前半にかけて、本務校の学部移転に伴う研究室の移転が行われており、一部の書籍の購入について令和5年度に持ち越すこととしたため、物品費について次年度使用額が生じた。また、国内におけるコロナの収束に伴う移動制限等が令和4年度には未だ完全には解除されていなかったため、出張を一部見送り、令和5年度以降に実施することとしたため、旅費についても次年度使用額が生じた。これらについては令和5年度中に使用する予定である。
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