• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

成年後見制度の規律と支援に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01232
研究機関広島大学

研究代表者

神野 礼斉  広島大学, 人間社会科学研究科(法), 教授 (80330950)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード成年後見 / 任意後見 / インフォームド・コンセント / 地域連携ネットワーク / 世話法
研究実績の概要

本年度は、(1)任意後見の利用促進、(2)医療等に係る意思決定支援の困難な人へ の支援について考察する論考を発表した。
「ドイツにおける任意後見の実情」(広島法科大学院論集19号)は、ドイツの任意後見制度である「事前配慮代理権」の制度の運用状況を紹介するものである。2021年末時点で、530万件以上の事前配慮代理権がドイツ連邦公証人連合会の中央事前配慮登録簿に登録されており、近年、将来に備える法的保護手段として発展している。ドイツの制度の特徴を考えてみるに、第一に、①ドイツの任意後見制度は日本に比べて制度を利用するための要件の敷居が低く設定されており、このような敷居の低さが、ドイツで任意後見が多く利用されることにつながっているように思われた。第二に、②ドイツの任意後見制度においては、延命措置の差し控えなども含めて医療に関する決定について委ねることができ、日本でも、任意後見契約・遺言・リヴィング・ウィルの連携といった工夫が必要であるように思われた。第三に、③ドイツでは、事前配慮代理権について、世話協会や世話官庁による組織的な広報・助言・支援体制が整っており、日本でも、地域連携ネットワークの構築が急務であるように思われた。
「無診療治療の禁止(千葉地判平12.6.30)」(医事法判例百選[第3版])は、診察なき診断や非告知投薬の違法性が問われた裁判例を考察するものである。本判決は、非告知投薬は、できる限り避けることが望ましいとしつつも、病識のない精神病患者に適切な治療を受けさせるための法的、制度的なシステムが十分に整っていない日本の現状では、やむを得ない側面もあるとして、違法性を否定した。病識のない精神疾患の患者に適切な治療を受けさせる場合、だれがどのような手続(裁判所等の公的機関の許可の要否など)に従って決定するのか、法制度の整備が望まれる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していた補助・保佐の利用促進に関する検討が遅れているため。

今後の研究の推進方策

当初の計画に沿って、補助・保佐の利用促進、不正防止の徹底などについて引き続き検討を続けたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ドイツにおける任意後見の実情2023

    • 著者名/発表者名
      神野礼斉
    • 雑誌名

      広島法科大学院論集

      巻: 19 ページ: 93-118

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 無診療治療の禁止(千葉地判平12.6.30)2022

    • 著者名/発表者名
      神野礼斉
    • 雑誌名

      医事法判例百選[第3版]

      巻: - ページ: 216-217

  • [雑誌論文] 保佐開始の審判と任意後見(広島高決令2.8.3)2022

    • 著者名/発表者名
      神野礼斉
    • 雑誌名

      新・判例解説Watch

      巻: 31 ページ: 113-116

  • [雑誌論文] 負担付き「相続させる」旨の遺言の解釈(大阪地判令3.9.29)2022

    • 著者名/発表者名
      神野礼斉
    • 雑誌名

      『民事判例25――2022年前期』(日本評論社)

      巻: - ページ: 110-113

  • [図書] 権利擁護を支える法制度/刑事司法と福祉(社会福祉学習双書2023)2023

    • 著者名/発表者名
      菊池馨実ほか(編)/神野礼斉(分担執筆)
    • 総ページ数
      340
    • 出版者
      全国社会福祉協議会
  • [図書] Law Practice 民法Ⅲ【親族・相続編】〔第2版〕2022

    • 著者名/発表者名
      棚村政行ほか(編)/神野礼斉(分担執筆)
    • 総ページ数
      396
    • 出版者
      商事法務

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi