研究課題/領域番号 |
22K01233
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
入江 秀晃 九州大学, 法学研究院, 教授 (50600029)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ODR / 紛争解決手続 / 調停 / メディエーション / オンライン |
研究実績の概要 |
ADR、ODRに関する研究を進めており、国内外のベストプラクティスの収集と整理、利用者ニーズの明確化、ソフトローとしての標準的な行動規範の整理を進めている。 たとえば、国内外のベストプラクティスの収集と整理という観点で、ADR法上の認証機関については、興味深い現象があった。弁護士会ADRに関しては、非認証会でのODRへの取り組みが促進されたが、認証会では取り組みのスピードが遅いものになってしまった。その背景には、コロナ禍における法務省の対応に課題があったためと考えられる。ただし、家事分野その他でのベンチャー的な新しいプレイヤーは、認証機関でも実績を重ねる場合も登場してきている。こうした現状についての分析を進め、機会を活用して考察を公表している。 具体的な成果としては、JCAジャーナルにおいて、「企業法務のための調停技法講座」の連載8回が完結した。また、家事分野において、『ADRを利用した離婚協議の実務』が刊行されたが、「離婚調停のための技法」を執筆した。ここでは、オンライン手続を含めた家事調停としての調停技法を扱っている。 2023年度には、国際法社会学会(RCSL)において、「Recent mediation policies in Japan: Reform of the ADR Promotion Act and emerging practices at the digital era.」と題する報告を行った。国際学術交流の文脈で、本研究の公表を継続していく方針である。 以上のように、ODRについての実務的課題に関する研究として、確実に進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調停手続のオンライン化はコロナ禍を受けて進んだが、人流がほぼ戻った2024年においてもオンライン活用の流れは止まっておらず、実務家の関心も高い。こうした状況を受けて、研究の継続が可能となっている。学術的な報告機会についても、論考の公表、学会発表等を実現できており、また、今後の機会についても準備が進んでおり、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
具体的な機関における運営のケーススタディを行うこと、利用者ニーズに関する経験的なデータを整理することが、学術的かつ実務的に意義が大きい。こうした観点で成果物を準備し、公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでのところ、事業者側からの情報収集が先行している。予算執行の面では、オンラインでのミーティング等の実施により効率的な活用に努めている。 利用者側のニーズ調査、手続評価のデータ整理について、予算執行を検討・準備している。
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