研究課題/領域番号 |
22K01236
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松田 忠大 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (60300620)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 船主責任制限制度 / 制限債権の範囲 |
研究実績の概要 |
本研究では、現在の油濁損害に対する損害賠償保障制度のもとにおいては、積荷油の流出を原因として生じた損害と、燃料油の流出を原因とするものとの間で、被害者救済のあり方に不合理な差異が生じていることを核心的な問いとして設定する。そして、船主責任制限制度の現代的意義の検討を踏まえ、経営的体力の乏しい漁業者、観光業者が負担することになった漂着油の清掃費用に係る請求権を、制限債権から除外する法理論の構築を試み、被害者救済の視座に基づく公平な船主責任制限制度の解釈・運用のあり方を提案することを目的とする。 このような目的を達成するため、令和5年度においては、船主責任制限制度の下における、本来あるべき「制限債権」の内容を考察することとした。船主責任制限制度の歴史は古く、1924年の「航海船の所有者の責任の制限に関するある規則の統一のための国際条約」が成立するまでは、各国において異なる考え方、方式のもとでこの制度が運用されてきた。その後、1957年に成立した「海上航行船舶の所有者の責任制限に関する国際条約」によって責任制限制度の世界的統一が行われ、これが現在の各国における責任制限制度の原型となっている。このことを踏まえ、1957年にブリュッセルで開催された海法に関する外交会議の議事録を入手するとともに、責任制限制度そのものに関連するイギリス、フランスの文献を入手して、これらをもとに、制限債権の位置づけやその範囲に関する当時の議論を明らかにするための検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、2022年度に採択されたが、2023年度末まで研究代表者は学部長の職にあった。そのため、大学および学部における管理運営業務が主とならざるを得ず、昨年同様に多くの管理運営業務に多くの時間を要することになり、計画通りに本研究を遂行することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年3月末をもって本研究代表者は学部長を退任することとなったため、次年度においては、管理運営業務の負担が大幅に軽減される見込みである。これまで管理運営業務に割り当てられていた時間を本研究課題の遂行に充てることができるようになることから、研究の遅れを取り戻すことができると考える。また、本研究課題の目的を達成させるため、本研究課題の最終年度内に課題についての検討・考察が終えられない場合には、研究期間の延長を申請することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学部長職に基づく管理運営業務のため、資料収集を目的とする出張等を実施することができなかったため、次年度使用額が発生した。次年度については、大学の長期休業期間(夏休み)等を利用して、必要な資料収集を行うことにする。
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