研究課題/領域番号 |
22K01247
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 悠太 東北大学, 法学研究科, 准教授 (10779458)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 中川善之助 / 我妻栄 / 身分行為 / 要式行為 / 法社会学 / 社会学 |
研究実績の概要 |
本研究は、その開始時において、中川善之助の身分論及びフランスの身分論の検討を手がかりとして行われるものとして計画された。このうち、中川善之助の身分論の検討にあたっては、我妻栄の身分論との対比が有益であると考えられるが、中川の場合と異なり、我妻の場合には総論的記述は手薄と言わざるをえない。そこで、『親族法』や『民法研究』を素材として我妻の身分論を再構成する作業に着手した。中川及び我妻の身分論については、無効な婚姻の追認という具体的な問題に即した形でも、最判昭和47年7月25日民集26巻6号1263号の検討を通じて、判例との距離を測りながら、理解を深めることができた。フランスの身分論については、再構成家族という具体的な問題を通じて、検討を進めた。このほか、第一に、最判令和3年1月18日判時2498号50頁の検討は、直接は遺言に関するものであるが、要式行為の検討として位置付けられるものであるとともに特殊法律行為の検討としても位置付けられるものであり、法律行為一般といわゆる身分行為との関係の考察を進めるものであった。第二に、とりわけ中川のそれにおいて顕著であるように、身分論は、法学と社会学との関係という問題との関係においても考察に値するものであると考えられるところ、その問題を考える手がかりとして日仏の法社会学について検討を進めるとともに、日本における民法(学)と社会との関係について、講演を行い、論文として公表する準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中川善之助の身分論及びフランスの身分論のそれぞれについて検討を進めるとともに、研究開始時に想定していなかった観点も得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
日本の身分論について、我妻栄の身分論の再構成を進めるとともに、中川善之助の身分論についての内在的な検討を進め、両者の対比にも及び、論文の形で公表する準備を進めることを予定している。フランスの身分論についても、再構成家族という具体的な問題に関する成果の公表を行うとともに、より抽象度の高い議論の検討にも及びたい。このほか、法社会学や社会学と(民)法学との関係についての検討も、並行して進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度分として請求した助成金と合わせて単価の大きい図書一式を購入するため、次年度使用額が生じた。
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