研究課題/領域番号 |
22K01264
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
菅原 郁夫 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (90162859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 民事訴訟 / IT化 / 証人尋問 / 弁護士・依頼者関係 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
当初の計画では、初年度は、はじめにリモート環境で法律相談を経験した人を対象にしたグループインタビューを行い、引き続いて、年度の後半では、リモート環境での弁護士 ・依頼者のコミュニケーションが両者の信頼形成に与える影響を実証的に検証する予定であった。この計画に従い、はじめにリモート環境で法律相談を経験した人を対象にしたグループインタビューを行った。この手法により、弁護士との面談経験を通じて感じ取ったリモート環境下でのコミュニケーションの長所や短所について、インタビュー参加者相互のディスカッションを通じ、リモート環境の長所や短所の規定因を可視的な形で析出することをめざした。その結果、対面環境とリモート環境では、空間の共有や問題の共有意識に差が生じるのではないかといった新たな知見が得られた。そういった知見をもとに、年度の後半では、これまでの先行研究や上記の新規要因を組み込んだシミュレーション実験の計画立てを行った。具体的には、法律相談のシナリオを準備し、実際に被験者にそのシナリオを従った相談を行ってもらうが、その実施条件を、対面・リモートの要因、弁護士の対応を共感型・非共感型の要因分けを行い、合計4パターンで実施し、その評定差を分析することにした。それによって、リモート環境における弁護士の依頼者面接のあり方に関する指針を探ることをめざしている。ただし、その事件の実施自体は、コロナ禍にあって対面環境での実験の実施が難しかったことから、環境改善を待ち、次年度に実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度の前半は計画通りに進行したが、後半に予定していたシミュレーション実験に関しては、コロナ禍の状況では、被験者および弁護士役の実験者に、対面での法律相談の実施を要請することが難しく、詳細な実験デザインは作成したものの、その実施自体は見送らざるを得なかった。ただ、2022年度初期にコロナ禍の状況がかなり改善されたことから、現在(2023年4月)研究協力者の協力のもと、シミュレーション実験を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、2022年度の研究計画にはやや遅れが生じたが、現在はその遅れを取り返すべく、シミュレーション実験を実施している状況にある。そのため、2023年度前半では、上記法律相談のミュレーション実験の結果分析等を行うことになる。この実験の分析結果に関しては、関連学会での発表を予定しているほか、関連学術雑誌への投稿も予定している。加えて年度後半では、当初の計画通り、争点整理手続および和解手続に関し、対面・リモートの比較実験を行う予定である。具体的な方法は、今後検討予定であるが、裁判官・原告弁護士・被告弁護士の3人からなるグループが、争点整理手続と和解手続を対面とリモートで行い、シミュレーション終了後に裁判官・弁護士役に対し、交換した情報量や効率性等の評定を行わせ、さらに、各セッションに一定数の観察者を置き、終了後やはり情報量や効率性の評定を行わせるといったことを予定している。それによって、争点整理・和解手続への参加者(裁判官・弁護士)のリモート環境への評価を明らかにすると同時に、参加者(実際の訴訟では当事者に相当)の評価も明らかにし、争点整理・和解手続でのリモート環境の用い方に関する指針を探る。この年度後半の実験においても、2022年度に実施したグループインタビューの結果を反映させる予定である。ただ、これらの実験も対面環境を含むものであることから、実施はコロナ禍の状況に影響されることも予想される。また、前述の通り、2022年度の実験の2023年度へのずれ込みもあることから、2023年度に予定された研究の一部が2024年度にずれ込むこともありうる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度の前半は計画通りに進行したが、後半に予定していたシミュレーション実験に関しては、コロナ禍の状況では、被験者および弁護士役の実験者に、対面での法律相談の実施を要請することが難しく、詳細な実験デザインは作成したものの、その実施自体は見送らざるを得なかった。そのため、2022年度予算の実験費用分を2023年予算に繰り越した。現在その予算を使い、実験を実施中である。
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