研究課題/領域番号 |
22K01305
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅川 健 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40635033)
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研究分担者 |
菅原 和行 福岡大学, 法学部, 教授 (90433119)
梅川 葉菜 駒澤大学, 法学部, 准教授 (60780517)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大統領令 / 行政命令 / アメリカ政治 / 大統領 |
研究実績の概要 |
本研究は、オバマ政権以降における根拠法を伴わない行政命令(executive order)の増加について、その歴史的背景と現在の動向を明らかにすることを目的としている。行政命令とは、アメリカ大統領による行政組織への命令文書の一類型であり、連邦政府の官報である連邦官報(Federal Register)に収録される。本来は、大統領が命令を下すにあたって、どのような権限に根拠を置いているのかを明示する必要のあるはずの行政命令において、根拠不明のものが増えている。この現象によって、大統領による権限濫用とそれへの他部局の対抗という、現代アメリカ政治のメカニズムに迫ることが可能になる。 既に公開されている行政命令のデータセットでは、それぞれの命令がどのような制定法や憲法条文を根拠にしているのかは示されておらず、本研究を進めるためには、まずはデータセット作成する必要がある。2023年度には、行政命令のデータセットの構築を進めた。この作業を進める中では、行政命令の根拠法については、「明示されている・いない」という二項対立での分類ではなく、明確さのグラデーションを捉えるべく工夫した。 本研究は、大統領による行政命令の発出の傾向を探るのみならず、行政命令に影響を受ける他のアクターとして議会と行政組織の対応・反応の分析も課題としている。そこで、2023年度には、トランプ政権の入国禁止措置を始めとする事例研究に取り組んだ。州政府による訴訟という対応、裁判所による差し止め、差し止めを受けてトランプ政権による行政命令の修正など、法案形成とは異なる、法執行における政治過程の分析に踏み込むことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、アメリカ大統領による根拠法を伴わない行政名について、主に、日本から入手可能な資料やデータの収集・調査を進め、本格的な分析の下準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には、23年度までに整理した行政命令のデータセットをもとに、行政命令に対する行政組織と議会の反応を、アメリカでの資料調査やインタビュー調査などによってさらに進め、論文として成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アメリカでの資料調査を予定していたが都合により取りやめたため。
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