研究課題/領域番号 |
22K01309
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
村井 良太 駒澤大学, 法学部, 教授 (70365534)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 佐藤栄作 / 1970年 / 経済的大国 / 石油危機 / 西側経済協調 / ノーベル平和賞 |
研究実績の概要 |
本研究は1970年に佐藤栄作政権が表明した、良好な日米関係を基盤として経済大国になっても軍事大国にならないという方針(本研究では「経済的大国」論と呼ぶ)が、内外のどのような壁に直面し、修正されながらも引き継がれていったのか、2度の石油危機、新冷戦、冷戦終結という三つの国際変動要因に注目して1970年代から1995年までを対象とする政治外交史研究によって検証することを目的としている。本年度の計画では、第1の国際変動要因である石油危機と西側の経済協調を史的に検証すると記していた。 1.計画に沿って1970年代に関する史料や文献を集め、現在の研究状況の理解に勉めた。三木武夫政権やそのもとで外相を務めた宮澤喜一に関する一次資料がまとまった形で公開されるようになっており、新たな研究も相次いでいる中で、そのフォローアップに勉めた。 2.課題の基礎となる冷戦について、初年度に引き続いて様々な文献を収拾し、読んでいった。また、この時期を分析する上で有効と考えられるワールド・ヒストリー/グローバル・ヒストリーについて方法論的な考察を継続した。さらに、オーラル・ヒストリーについても本研究課題との関係で多くの重要な蓄積があるので、そのフォローアップにも務めた。 3.本年度は石油危機や西側協調に関する現在の研究状況の吸収に勉めるとともに、1970年の日米安保条約自動延長への政権の対処や、田中角栄政権下で推薦を行った1974年の佐藤のノーベル平和賞受賞について、資料収拾を含めて調査と考察をさらに進めた。ノーベル平和賞に際しても英国のウィルソン元首相を意識していたことは興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では海外調査や海外での研究者との交流を早期に行うことを想定していたが、新しい研究テーマでもあって調査研究を進める中で未だ基礎的作業が続いている。それは5年計画で申請した意味でもある。円高基調である中、十分焦点を絞った海外調査を行おうと考えれば国内での調査研究を優先することにもなり、海外の研究者と国内で交流・意見交換する機会もあった。このこともふくめておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1970年代の石油危機への対応についてさらに理解を深めるとともに、計画に沿って新冷戦など1970年代末から1980年代初めの分析に入っていきたい。公表できるものは成果として研究をまとめ、発信していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画に沿って外国での資料調査や交流を行うための旅費として予定されており、コロナ禍の影響が収束しつつある一方、円高が進む中で、研究上適切な時期に海外での資料調査と交流を計画し、遂行したいと考えている。
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