研究課題/領域番号 |
22K01323
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
遠山 隆淑 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系人文グループ, 准教授 (60363305)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | トーリー / ソールズベリー / 『クォータリー・レビュー』 / 妥協 / 保守党 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヴィクトリア時代のイギリス議会政治における政治的妥協論の分析の一端として、私がこれまで研究してきた、ウィッグを中心とする自由党系の知識人ではなく、保守党系の知識人の政治的決定観を追跡している。1860年代は特に、バジョットが『イギリス国制論』(初版1867年)で肯定的な評価を下した「パーマストン・ダービー連合」という、両党指導層による妥協の政党運営が実現していたが、今年度は、特にこの時代に保守党の若手論客として、保守党の「原則(maxim)」を示し、同党に思想的な立脚点を与えようと『クォータリー・レビュー』を中心に数多くの論文を発表したソールズベリーの議論を検討した。M. Bentley(2001)やP. Smith(1972)などの先行研究などで論じられているような、ソールズベリーの幼少期から一貫して見られるきわめて理知的で目的の実現を優先する実用的な性格から、政党についてもまた、彼自身の目的を実現するための手段としての位置づけが明確だったようである。当時の保守党指導層の妥協的政治姿勢の一端は、こうした実利的な思考に由来するものと見ることができるかもしれないが、本研究は、コロナ禍の影響で一昨年度からの研究の遅れが影響して、まだ端緒についたばかりと言うべき状況であり、ソールズベリーの論文が保守党や党指導層に与えた影響にも注目しながら、『クォータリー・レビュー』誌上で発表された彼の論文の分析をさらに進めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度からのコロナ禍の影響が続いており、前年度までに予定していた研究も同時に行う必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究を通じて、ソールズベリーにとっての文筆活動や論文と政治活動との関係をおおよそ把握することができたため、保守党内における言論活動の影響、ソールズベリーの役割に注意を払いながら、引き続き彼の論文の分析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度のコロナ禍の影響で、本研究以前の研究の進捗が滞り、2022年度の研究をそちらに振り向ける必要が生じたため。
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