研究課題/領域番号 |
22K01324
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
間 寧 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任調査研究員 (70401429)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Authoritarianism / Elections / Voting behavior |
研究実績の概要 |
競争的権威主義が崩壊過程にあるトルコを事例に、(1)競争的権威主義政権がなぜ選挙勝利が見込めない状況に陥るのか、(2)政権交代が起きる国政選挙で、政党基盤再編が起きるのか、(3)政党基盤再編は安定的政権をもたらすのかを、マクロデータと世論調査データを用いて分析するという本研究の目的に従い、イスタンブルのKoc UniversityのAli Carkoglu教授との共同作業で、2023年5月に実施された大統領・国会同時選挙についての3時点パネル世論調査データを集計編集し、分析を開始した。これと並行して、選挙では与党が劣勢との当初の予想をなぜ覆して勝利したかも分析した。トルコでは選挙に先立つ2月に大地震があり、災害対応の遅れをめぐり政府が批判された。震災被害の大きかった地域は保守派が多く与党の主要な支持基盤を形成していた。そのため災害対応への不満が与党離れに結びつかなかった。また選挙戦終盤には偽造ビデオを与党集会で流して全国放映させ、開票開始後は、政府側が選挙速報の操作によって野党側の選挙監視役の士気をくじき選挙不正の余地をつくりだした。これらの分析結果をもとに論文原稿を作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年大統領・国会同時選挙の3時点パネルデータの編集と分析を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
有権者は通常は経済状況を元に政権支持を判断するとされるが、政権が経済以外の問題の重要性を有権者に認識させることにより有権者の経済業績投票の傾向を弱めることは可能なのかを設問として、経済と安全保障という2つの政策領域での政権評価が有権者の政権支持にどのような影響を与えたかを、既存研究との関連で分析する。分析手法としては、3時点の変数を含むパス解析を用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により前年度予算で使い残しが発生していた。その繰り越し分を今年度に使用したため、今年度分予算を使い切らずに余剰が発生した。
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