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2022 年度 実施状況報告書

社会主義における経済活動の自由の政治的意味

研究課題

研究課題/領域番号 22K01328
研究機関一橋大学

研究代表者

河本 和子  一橋大学, 経済研究所, 研究員 (50376399)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードソ連史 / 計画経済 / 信用 / 割賦販売
研究実績の概要

2023年3月24日に、一橋大学経済研究所ロシア研究センター・経済制度研究センター・共同利用共同研究拠点共催コンファレンス「世界転換期における新興市場」において、「フルシチョフ期ソ連における割賦販売の開始」と題する報告を行った。同報告は、計画経済を採用したソ連において割賦販売制度が導入されたことの意味、制度化の特徴などについて論じた。計画経済は経済的自由を高度に制約するが、政府は、購買力および消費の自由を高めるという意味で資本主義国と同様の意義を持つ割賦販売制度を、生活水準向上を正当化要因として導入し、この際、必要な信用を最終的にすべて国家に帰着するよう制度を設計したことが明らかとなった。本報告は、本科研のテーマの前提となる研究目標を持つ科学研究費補助金基盤(C)「社会主義体制における個人の経済活動と自由」(課題番号19K0149)の成果でもある。
また、2022年12月27日、「冷戦期科学技術政策の変容に関する国際比較研究―スプートニク事件を転換点として―(科学研究費補助金基盤研究(B)研究代表者:松村史紀)」の研究会において、「普通の人のスプートニク:マスメディアは何を人々に理解させようとしたか」と題する報告を行った。この報告で、スプートニク打ち上げ後のソ連の新聞による報道の特徴について論じた。このうち、衛星打ち上げについて解説する科学者たちが、科学の発展と生活水準の向上とを結びつけて論じた点は、本科研で明らかにした。
2022年度に予定していた資料収集は、2022年2月にロシアがウクライナに対して侵攻を開始したために叶わなくなった。したがって、一橋大学経済研究所資料室で関連する文献と、近年刊行された書籍を購入した。このほか、ロシアの論文・雑誌データベースで関連の文献を集めた。いずれの文献・資料も上記二つの報告で用いた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、日本を含むいわゆる西側諸国が厳しい対ロ制裁を打ったことにより、ロシアにおいて資料収集をすることが不可能になった。さらに、利用を予定していたデータベースの1つである「法の科学」は、有料化に伴いロシア国内で発行されたクレジットカードしか受け付けなくなり、事実上使用不能となった。
ゆえに、まずは一橋大学経済研究所資料室で基本的な文献および資料を収集した。加えて、ロシア語論文データベース「サイバー・レーニンカ」や、新たに発見した新聞・雑誌のデータベース「エレクトロネクラソフカ」(ネクラソフカ記念図書館電子版サイト)を利用した。
こうした工夫により、上記二つの報告が可能となった。

今後の研究の推進方策

戦争が終わる様子はなく、2023年度においてもロシアでの資料収集の見込みはない。代替地を検討するが、モスクワにソ連全体の情報が集積されるため、代替地での資料収集が実現したとしても当初予定したような質と量の情報を入手することは困難だと予想される。したがって、公刊資料とアクセス可能なデータベースを用いて調査を行う。
まずは既に行った報告を原稿化する。さらに、消費活動に関する規制とそれからの逸脱について文献での調査にとりかかる。

次年度使用額が生じた理由

2022年2月にロシアがウクライナ侵攻し、ロシアに渡航して調査することが不可能になったため、旅費を支出しなかったのが最大の要因である。また、新型コロナ感染症ゆえに、研究代表者となった科学研究費補助金基盤(C)「社会主義体制における個人の経済活動と自由」(課題番号19K0149)を延長して支給されており、そちらからの支出を優先したためでもある。
2023年度は本科研から集中的に図書等の購入や重要論文の複写に支出する。また、旅費の支出も見込んでいる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] フルシチョフ期ソ連における割賦販売の開始2023

    • 著者名/発表者名
      河本和子
    • 学会等名
      世界転換期における新興市場
  • [学会発表] 普通の人のスプートニク:マスメディアは何を人々に理解させようとしたか2022

    • 著者名/発表者名
      河本和子
    • 学会等名
      冷戦期科学技術政策の変容に関する国際比較研究研究会

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公開日: 2023-12-25  

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