• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

ベルギーの多層的な政治空間における同時並行的な連立交渉の過程と帰結

研究課題

研究課題/領域番号 22K01350
研究機関龍谷大学

研究代表者

松尾 秀哉  龍谷大学, 法学部, 教授 (50453452)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードベルギー / 連立形成 / 多極共存型民主主義 / 多極共存型民主主義の変容 / マルチレベルガバナンス / 西欧小国の民主主義
研究実績の概要

2023年度は、夏にベルギー訪問がかない、研究者(Dimitri Vanoverbeke, Koert Debeuf)および2014年、2019年の連立交渉の時の自由党党首(結局いずれも自由党から首相を出すことになった)、Gwendolyn Rutten現Aarschot市長にインタビューできたことは大きかった(とくに2014年の交渉については松尾(2016)を参照のこと)。
ただし、そのインタビューから、2014年の交渉については、こちらが考えていたような「垂直的一致原則」に主要アクターが縛られていないことが明らかになった。主要アクターが交渉の際縛られているものは、むしろ「妥協・合意の原則」とでも名付けるべきもので、この点を改めて2024年以降の研究では確認したい。
この知見は「垂直的一致原則」を打ち出したDeschouwer,Krisに対する反論となる以外に、ちょうど別で論じた「多極共存型民主主義の変容論」に対する反論を補強することにもつながると考える。ただし現時点では、どの文脈でどう切り取るかなど見極めたく、もう少し熟慮したい。非常に面白い発想なので、もう少しエビデンスなどをしっかり集めて、論考としたい。
実績としては、このときのヨーロッパ(ドイツを含む)訪問でえた、現状のヨーロッパに対する報告を論じるエッセイなどが多くなった。
ただし円安の影響で、この滞在ですべての予算を使い切ってしまったことは想定外であったが、なんとか自費で滞在したおかげで市長と会うタイミングができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Rutten市長との対談は多くを得た。ただし話が2014年の連立交渉で盛り上がりすぎて、市長のお仕事の制限もあり、2019年の交渉について十分時間がとれなかった。しかし、そうであっても近年欧米で流布している「多極共存型民主主義の変容論」に対する新しい反論のヒントを得られたことは大きい。

今後の研究の推進方策

本研究の当初のテーマについて、また2019年の交渉のロジックを明らかにしたい。
また、「垂直一致原則」に変わる新しい「原則」をもう少し精査したい。可能なら、もう一度Rutten市長へのインタビューを行い、また本年6月の選挙以降、政治がどう動くか、などを見てから、ペーパーを著したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「試練か、それとも希望か 重要な2024年欧州議会選挙を待つヨーロッパの動向」2024

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 雑誌名

      現代の理論デジタル

      巻: 37 ページ: 1

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ビールと対話する2023

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 雑誌名

      タバコ総合研究センター TASC MONTHLY

      巻: 573 ページ: 1

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「トライバリズム」概念をめぐる考察と課題の抽出2023

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 雑誌名

      龍谷大学『社会科学研究年報』

      巻: 53号 ページ: 253ー261

  • [図書] 入門政治学365日(改訂新版)2024

    • 著者名/発表者名
      中田晋自、松尾秀哉、柳原克行、臼井陽一郎、小副川琢、小松﨑利明、平賀正剛編著
    • 総ページ数
      209
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi