研究実績の概要 |
2023年度は、夏にベルギー訪問がかない、研究者(Dimitri Vanoverbeke, Koert Debeuf)および2014年、2019年の連立交渉の時の自由党党首(結局いずれも自由党から首相を出すことになった)、Gwendolyn Rutten現Aarschot市長にインタビューできたことは大きかった(とくに2014年の交渉については松尾(2016)を参照のこと)。 ただし、そのインタビューから、2014年の交渉については、こちらが考えていたような「垂直的一致原則」に主要アクターが縛られていないことが明らかになった。主要アクターが交渉の際縛られているものは、むしろ「妥協・合意の原則」とでも名付けるべきもので、この点を改めて2024年以降の研究では確認したい。 この知見は「垂直的一致原則」を打ち出したDeschouwer,Krisに対する反論となる以外に、ちょうど別で論じた「多極共存型民主主義の変容論」に対する反論を補強することにもつながると考える。ただし現時点では、どの文脈でどう切り取るかなど見極めたく、もう少し熟慮したい。非常に面白い発想なので、もう少しエビデンスなどをしっかり集めて、論考としたい。 実績としては、このときのヨーロッパ(ドイツを含む)訪問でえた、現状のヨーロッパに対する報告を論じるエッセイなどが多くなった。 ただし円安の影響で、この滞在ですべての予算を使い切ってしまったことは想定外であったが、なんとか自費で滞在したおかげで市長と会うタイミングができた。
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