• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

過剰/過少安全保障化の理論化に向けて―COVID-19を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 22K01367
研究機関立命館大学

研究代表者

足立 研幾  立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70361300)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード安全保障化 / 過小安全保障化 / 計量テキスト分析
研究実績の概要

本研究は、近年安全保障研究において一大分野となる一方で、理論化が十分に進んでいるとは言えない「安全保障化(Securitization)」について、理論的精緻化を試みるものである。その際、2022年度については、安全保障化と過少安全保障化の理論化を図った。とくに、日本における新型コロナウィルス感染症対策を事例として取り上げつつ、国家が市民が脅威と感じるものを安全保障の対象としない(安全保障化を行わない)時、市民がいかなる行動をとるのかという点の理論化を試みた。議論がある程度まとまってきたため、その内容をペーパーとして報告すべく、2023年度のいくつかの国際学会に報告プロポーザルを提出したところである。
また、安全保障化を分析する理論を精緻化するにあたって、政府関係者や主要アクターの言説を、政府刊行物、主要アクターの発言・スピーチ等のテキスト分析する点にも本研究の特徴がある。2022年度は第二次安部政権期の国会における安全保障にかかわる審議を、テキストデータとしてデータベース化した。それをいかに安全保障化の分析へと操作化するのかという点については試行錯誤を続けているが、その過程で、第二次安部政権期の「人間の安全保障」にかかわる計量テキスト分析を試みた。その成果については、「第二次安倍政権期になぜ「人間の安全保障」への言及が増加したのか? : 国会議事録の計量テキスト分析による考察」『立命館国際研究』第35巻第2号として、公刊した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

安全保障化の理論化作業は順調に進展している。計量テキスト分析についても、データの入力作業は順調に進展しており、その過程で、すでに一本論文を書くことができた。ただし、今後、いかに安全保障化の分析へとつなげるのかという点についてはやや苦労をしており、まだ試行錯誤中である。ただ、全体としてはおおむね計画通りに進捗している。

今後の研究の推進方策

理論化作業については順調に進捗しているので、2023年度には国際学会等で報告し、フィードバックを得ることでさらなる精緻化を試みたい。実証面についても、コロナ禍が明けつつあるため、現地調査等も実施できそうである。加えて計量テキスト分析についても、現在のペースでデータベース作成、および分析を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

2022年度、計量テキスト分析については予備的に行ったため、データ入力作業などにアルバイトに依頼せず、自ら行った。2023年度については2022年度に浮いた予算を用いて、アルバイトを活用してデータ入力作業等を加速していきたい。また、理論化については想定より順調に進捗しているため、余裕のできた予算を活用し、国内外での報告を2023年度から増やしていきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「第二次安倍政権期になぜ「人間の安全保障」への言及が増加したのか? : 国会議事録の計量テキスト分析による考察」2022

    • 著者名/発表者名
      足立研幾
    • 雑誌名

      『立命館国際研究』

      巻: 第35巻第2号 ページ: 1,18

    • DOI

      10.34382/00017797

    • オープンアクセス
  • [学会発表] “Writing a Global IR Textbook: From Japanese Perspective"2023

    • 著者名/発表者名
      Kenki Adachi
    • 学会等名
      International Studies Association Annual Convention 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] “Norm Localization, Breeding, or Hijacking?: Analysis of the Philippines Government’s References to Human Security”2023

    • 著者名/発表者名
      Kenki Adachi
    • 学会等名
      International Studies Association Annual Convention 2023
    • 国際学会
  • [図書] Japan's Security Policy: Why Did Japan Engage in Human Security Diplomacy2023

    • 著者名/発表者名
      Keiji Nakatsuji, Kenki Adachi
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      1032139552

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi