研究課題/領域番号 |
22K01370
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 貢 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70251311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アフリカの角 / 紅海危機 / スーダン内戦 |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者がこれまで実施してきた「崩壊国家」ソマリアを中心とした北東アフリカ地域の国内政治と国際関係の近年加速化する変容を、広域の「アフリカの角」(Greater Horn of Africa)における国際関係の再編過程としてとらえ、その地域秩序の動態を検討することに焦点を当てるものである。2023年度は、初年度に引き続き、「薄い覇権」として特徴付けられる地域としての「アフリカの角」を設定し、スーダンにおける内戦の発生や、エチオピア情勢などの変化を注視しながら、紅海を挟んだ湾岸諸国や中東国際関係と連動する動きを継続的に分析し、関連の研究を実施している研究会で報告する作業を実施した。 こうした検討を通じ、「アフリカの角」地域の安定化に資する何らかの対応可能性があるとすれば、「薄い覇権」に代わるアメリカや中国も含む多国間の何らかの共同枠組みの構築ということになる可能性があることが示唆されてものの。「アフリカの角」の不安定化の継続は、公開地域の不安定な度とも連動する形で、より広域なアフリカ地域の不安定性を惹起するリスクをはらむものであり、国際秩序そのものの不安定化をさらに増長しかねないもなるという含意を提示した。 加えて、国際秩序が揺らぐ中で、ロシアの関与や中東の複雑な関係など普段に変化し続ける要素が含まれていることなどから、引き続き情勢の変容を精査する作業を継続する必要性が出てきているといった課題を認識する形ともなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、スーダン内戦やガザ問題を背景として「アフリカの角」地域の不安定性がさらに高まるという大きな動きが見られたこともあり、状況の推移の観察を中心とした検証作業が中心となった。2024年度は、こうした変動をより理論的な観点から整理する作業を通じて、本研究をさらに進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に研究は進んでいることから、継続して様々な現地での調査レポートなどを参照する作業などを通じて、「アフリカの角」地域に生じているダイナミズムの評価を行っている予定である。対象地域は引き続き、紛争などの不安定要因が絶えないこともあり、現地での調査実施は難しいところが残ることから、既知の研究者などとの連絡やオンラインでの聞き取りなどの手法を駆使する形で、研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査を行う予定で組んでいた旅費を使うことができず、メールやオンラインインタビューなどでの調査に切り替えたため。
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