研究課題/領域番号 |
22K01399
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
藤本 淳一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00507907)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | マクロ経済学 / 労働サーチ理論 |
研究実績の概要 |
人々はそのライフサイクルにおいて、家庭による教育等で人的資本を形成して労働に従事し、新たな家庭を築き次の世代を育てていく。このプロセスの円滑な進行は、個々人の厚生のみならず、持続的成長等のマクロ経済的観点からも重要である。本研究の主な目的は、こうした視点から人々のライフサイクルにおける雇用・労働と家族関係の相互作用を経済学的に分析することであり、令和4年度には以下の2プロジェクトを探求した。 Julen Esteban-Pretel氏(ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジ准教授)との我が国の非正規雇用についての共同研究では、以前より取り組んできた正規雇用・非正規雇用の別を導入した労働サーチ・マッチング・モデルの構築を引き続き進めるとともに、日本の非正規雇用の特質につきデータ分析を通じて理解を深めた。また、1980年代以降の日本の非正規雇用につき概括した発表済ディスカッションペーパーのEsteban-Pretel and Fujimoto (2021)を国際学術雑誌に投稿すべく、改訂作業を進めた。 David Lagakos氏 (ボストン大学准教授)及びMitchell VanVuren氏(イエール大学ポストドクトラルアソシエート)との発展途上国における親の所得と子の教育水準の関係に関する共同研究では、ガーナの高校無償化政策のマクロ経済学的効果に関する論文につき、モデルを用いた新たな数値シミュレーションや、モデルの分析結果の検証のための現地でのサーベイを実施した。それらを基に改訂を行い、論文完成に向け大きく前進した。 <参考文献> Esteban-Pretel, J. and J. Fujimoto (2021) “Non-regular Employment in Japan from the 1980s,” GRIPS Discussion Paper 21-01.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、雇用・労働と家族関係の双方向的な関わりを重視した経済学的分析を行うことを目指している。コロナ禍により共同研究者を往訪・招聘しての打ち合わせができず不便な点はあるが、上記のとおり2プロジェクトの研究を着実に推進してきており、全体としておおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
Esteban-Pretel氏とのプロジェクトについては、正規雇用・非正規雇用の別を導入した労働サーチ・マッチング・モデルの構築と1980年代以降の日本の非正規雇用についての論文の改訂作業に引き続き取り組む予定である。Lagakos氏及びVanVuren氏との共同研究については、論文の国際学術雑誌掲載を目指して作業を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和四年度には国際学会への出席や共同研究者の往訪・招聘に費用の支出を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の長期化で実現できなかった。令和五年度は新型コロナウィルス感染症の状況が好転しつつあることに伴い、可能な範囲で共同研究者の往訪・招聘や関連分野の研究者との意見交換等のための出張を行うとともに、研究効率化に資するPC周辺機器等を購入する予定である。
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