• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

内生的情報取得下での情報公開政策に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01401
研究機関東京都立大学

研究代表者

荒戸 寛樹  東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (90583518)

研究分担者 中村 友哉  明治学院大学, 経済学部, 教授 (70706928)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード情報公開政策 / 不完備情報ゲーム
研究実績の概要

民間主体の情報取得が内生的な状況において,政府が経済状況に関する情報をどのように民間主体に公開することが望ましいかを,不完備情報ゲームの枠組みを用いて理論的に考察した。先行研究においては,民間主体の情報取得が外生的な状況を考察しており,そのもとでは,政府が民間主体の一部にのみ情報を公開すること(部分的公開)と,民間主体の全体に伝えるが情報に解釈の余地を残すように公開すること(部分的透明性)は経済厚生上同じ効果を持つことが示されている。すなわち,部分的公開政策で達成できる厚生水準は部分的透明性政策でも達成でき,逆も成り立つ。
我々の研究は,標準的な仮定のもとで,情報取得が内生的の場合は部分的公開と部分的透明性の政策効果は異なり,適切な部分的公開政策によって部分的透明性政策より高い経済厚生を達成することが可能であることを示した。また,部分的公開と部分的透明性の両方を同時に行うことができる場合でも,部分的公開のみを行うことが望ましいことも示すことができた。この理由は,部分的透明性政策は民間主体の情報取得行動を強め,結果としてより多くの情報取得コストを費やすのに対して,部分的公開政策はこの効果が小さいため,情報取得コストを社会的に小さくすることができるためである。
研究成果は研究会での報告を行った上,論文にまとめて国際学術雑誌に投稿中である。また,草稿はディスカッションペーパーとしてプレプリントサーバーに公開中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画のうちの一つの研究を国際学術雑誌への投稿を計画通り行うことができた。今後は計画に挙げたもう一つの研究に取り組む。

今後の研究の推進方策

今後は,研究計画に基づき,経済状況の変化が民間主体の情報取得にどのような影響をもたらすかについて理論的研究を行う。多くの先行研究においては民間主体の情報取得行動の強度が経済状況に依存しない設定になっているが,本研究を行うことにより,経済状況の大きな変化に対する人々の行動や政策に関して新しい知見を得ることができると考えている。

次年度使用額が生じた理由

書籍の購入や遠隔ミーティング環境整備費が予定よりも少額で済んだため,翌年度使用額が発生した。次年度の書籍購入や研究発表旅費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Welfare Effects of Partial Publicity and Partial Transparency in Endogenous Information Acquisition2022

    • 著者名/発表者名
      Arato Hiroki and Nakamura Tomoya
    • 雑誌名

      SSRN Electronic Journal

      巻: ー ページ: ー

    • DOI

      10.2139/ssrn.4155967

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Welfare Effects of Partial Publicity and Partial Transparency in Endogenous Information Acquisition2022

    • 著者名/発表者名
      中村友哉
    • 学会等名
      応用ミクロ経済学セミナー

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi