研究実績の概要 |
2023年度において、以下の業績を公表した。(1)共著書:二宮健史郎・得田雅章(2024)『金融構造の変化と不安定性の経済学』日本評論社、(2)査読付論文:Ninomiya,K.(2023), Debt Burden, Investment, and Profit-Sharing, Evolutionary and Institutional Economics Review 20(2), pp.287-306、(3)DP: Ninomiya, K.(2023), Financial Cycles and Instability in a Keynes-Wicksell Model, Rikkyo Institute of Economic Research, Discussion Paper (E-5)、(4)紀要論文:二宮健史郎(2024)「物価、利子率の理論と金融の不安定性:基本マクロ経済モデルの再検討と展望」『立教経済学研究』第77巻第4号(刊行予定)。 (1)は、研究分担者(得田)との共著書であり、非線形経済動学を適用した金融不安定性のマクロ動学モデルにおいて金融構造の変化と経済の不安定性、循環を理論的に検討し、構造VARモデルを適用して実証分析を行なったものである。(2)は、負債を考慮したモデルにおいて、異なるProfit -Sharingルールが体系の安定性に与える影響を検討したものである。(3)では、競争・寡占の混合体系におけるKeynes -WicksellモデルにLR(貸し手のリスク)型の金融構造を導入した。そして、寡占経済において金融の不安定性を誘発するLR型の金融構造が、競争経済においては経済を安定化させることを示した。但し、競争経済が望ましいと結論づけるのは早計である。(4)は、本研究課題に関する学説史的展開を含む基本的なサーベイ論文である。 (1)(2)は、本研究課題の基盤となる成果、(3)は基礎的モデルであり、本研究課題の目的の達成のために極めて重要なものである。(4)のサーベイ論文にも示しているように、これらの諸研究の拡張、精緻化により研究の発展が期待される。 研究分担者は、以下の論文を公表している。 得田雅章「マクロ経済変数と資産の価格」『資産評価政策学』第24巻第1号, pp.1-9.
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